閑話とある友人の内心
あいつはあった時から少し変だった。
「俺幸春。これからよろしくね」
「よろしく」
あいつの目は人を好まない目。人を嫌いかどうかでしか見ていない目だった。
俺はそんな目を初めて見た。でもなんとなくそうだと本能が言っていた。だから俺はこいつに好かれてみようと思った。仲よくなろうと。
簡単に仲良くなれた。あいつの顔は表情豊かでよく笑うやつだった。でも目は、目だけは違う。いつまでも人を哀れに見る目だった。―――あいつらの前を覗いて。
それはあいつが下校している様子を偶然見かけた時だ。目が生き生きしていた。優しさと楽しさを兼ね備えた見つめている相手を好きだと言える目をしていた。
俺はそんな目をさせるやつが気になった。そこには3人のあいつの友達がいた。1人は知っている。でも他の奴らは知らない。
っ!
あいつが急に俺の方を見てきた。まるで俺のいる位置に知り合いがいると分かっていたかのようにこちらを見てきた。
「お、紅音じゃん。やっほー」
「よう。そいつらは?」
「紹介しよう。
「誰がペットだ」
「「「何か間違いある?」」」
「あれ?一緒にペットって言われたはずの儚も敵になってない?」
「お前に仲間が最初からいるとでも?」
なるほど、そう言う事か。こいつらは確かに面白い。というよりこいつらの中でしか通じないような一連のノリが面白い。
「それよりも今日は家帰ってすぐフォトナやるんだろ?」
「あ~今日は夜かな。後エペかな」
「というわけだ。最下級奴隷、やるよな?」
「いや、無理かな」
「「ふざけるなよ」」
いや、違ったわ。こいつただのサイコパスだったわ。ゲームの話になった瞬間目の色が変わったよ。すんごい生き生きしてるよ。
あいつと会って数ヶ月。俺はあいつとチャットで会話をしていた。俺は遠い昔の事を話した。遠いといっても10年ほど前なのだが。それを話せばなにか教えてくれるのではないかと思った。
あいつは教えてくれた。なんで人と一線を引いているのかを。それは昔の事だ。昔はかなりの天然でこんなことがあったそうだ。人に聞いた悪口をそのままその悪口を言われた本人に伝えたことが。それ以来そいつには嫌われてしまったと。だから人の秘密は嫌いで人とはあまり密接になりすぎないようにしていると。でも、凛と儚は旧知の中でゆういつ本心が話せるそうだ。
これは本心じゃないのかと聞いたら「まあこれ自体は別に聞かれたら答えるよ」と返って来た。
―――今日、あいつを初めて恐ろしいと思った。今まではちょっと変だなぁみたいなそんなのだった。けど今日は違った。
それは下校の時だった。俺と成はトイレ掃除の番が来てあいつは休み。別のクラスの友達が来てそいつもトイレ掃除だった。だからそいつが幸春の事を強引にトイレ掃除に付き合わせようとリュックの持ち手をもって数秒後幸春は腕の付け根に腕を回し友達の腕を固定して下に下げた。
友達はかなりいたそうだった。実際俺もあれをくらったらいたいだろう。なんせ腕を垂直レベルで下げたのだ。関節可動域を超えている。それを見て幸春は「なんでいたそうにしてるの?」と言いたげな顔をしていた。いかれてる。
でも、違う。俺が恐れたのはそんなのじゃない。それはその直後だ。友達が痛くてキレて放置して靴箱に行こうとした幸春を呼び止めた。普通なら逃げるだろう。だがあいつは頭に「?」を浮かべながら振り向いた。友達は全力であいつの頬を殴った。
それに対して幸春はビクともせず「?」と思いながらそのまま靴箱に向かった。俺は思わず呼び止めた。
「おい、ちょっと待てよ!」
「?なんで?」
と言い放ちそのまま靴箱に向かった。それを見て俺はもう呼び止めなかった。それよりも少し腕を抑えてうずくまっている友達の方が心配だった。
トイレ掃除に行く道中であいつがいた。佇んでいた。凛たちを待っているのだろう。先ほど殴った友達が煽るようにこう言った。
「なんかいるぞw」
と、そいつの手は少し震えているように見えた。俺はそいつに便乗してこういった。言ってしまった。
「速くトイレ掃除行くぞ」
「行くわけねえだろバーカ」
あいつは少し笑いながらそう答えた。俺は安堵した。俺は一度もあいつがキレているのを見たことはないがさも当然のように気づかれず人のものを盗ったり数センチの体格差しかないのに物を盗って片手でそいつを抑えているのを何回か見た。
だからキレたら何されるかわからないから少し行ってしまった瞬間に怯えた。
まだまだ観察しないとな。人ってのはよくわからない。
~~~◇■◇~~~
こちらの話は実は所々実際に筆者が体験した(腕を垂直に下したのは私です。家に帰ってあれ痛いんかなって思いました)ことをもとに書いてる部分的ノンフィクションなんですよね。よければこの話だけでもコメントを頂ければと。
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