第5にゃ♫ マタタビの魅惑


「にゃあ、今日は暑いのニャ~」

「木陰でお昼寝が、一番だニャん」


公園のみんな

 ふにゅう~。

(((平和だニャ~)))


 もふもふ公園には、今日もたくさんの猫が集まり、仲良く過ごしている。


 そんな中、しょんぼりな声で鳴く猫がひとにゃん。


「にゃーふうぅ~……」


「どうしたのニャ?!」


 その、しょんぼり猫とは?



 お昼寝も終わり、多くの猫たちはそれぞれに動き始める。


「うにゃー?」、「にゃっは!」

(調子どぉ?)、(元気だよ!)


 公園のみんなが、にゃうーにゃうーと楽しそうにしている中で。


――信じられない事が起こった。


「うにゅ~ふぅ~」


 なんと! あの、にゃんにゃんの元気がないのである。


公園のみんな

 にゃおおっ?? (にゃんだってぇ??)

 にゃにゃにゃあー?! (にゃんの元気がない?!)


 み~んなビックリ仰天。そして、心配になっていた。


「オイッ! にゃん、どうしたんだニャ?!」


 いつもだったらてってけ~と遊び、周りを巻き込みながら公園内をひゃっほーと、元気に駆け回っているにゃんにゃん。元気が良すぎて、いつも注意ばかりしているお兄ちゃん的存在のホクも、ここまで元気がないとさすがに。にゃんにゃんの様子が気になっていた。


「ホク兄、はぁぅ~」


(ま、まさか……ニャ?)


 そして、深刻な表情でにゃんにゃんを見た。


「ミル! ミルは近くに――」


「ハイですゥ~」


「うにゃはッ!!」

 ホクは、けけぶおっ!! 逆立っている。


(び……びっくりしたのニャ)


 うにゅーーーーーーん♪

「呼びマシたかニャ?」


 もふもふ公園の猫たち、み~んなの博士。サバトラ猫のミル。

 ホクの呼ぶ声が「近くに」のあと、「いにゃいかッ?!」と、言うはずが。

 そのずっと前から、後ろに待機していたミルから、びっくりさせられたホク。


 ミルは、名前を呼ばれるのを今か今かと待ち、やっと!

 よ・ば・れ・たぁ~、と喜びながら、『うにゅ~ん♪』と、現れたのだ。


 ミルが後ろにいたことに、全く気が付かなかったホクはとても驚き、いつもの倍は、ぴょーんッ! と、飛び上がっていた。


「よ、呼んだニャ、ってーオイッ! ミル! ビックリさせにゃいでくれ」


「うニャ? ホクホク。ごめんナノです~」


「……にゃっ! (はっ!)それより、ミル――」


 ホクは、にゃんにゃんの元気がないことを伝えて、ミルに、(ほうこくっ、れんらくぅ、そーだぁん♪)。


「サぁ、にゃん? コッチ向いてニャん」

 ミルが首をかしげて、にゃんの顔をのぞき込む。


「うにゅー。にゃ? ミル兄様だぁ」

 少し笑顔になる、にゃんにゃん。


「ど、どうニャ?」

 ホクは、もう気が気でならない。


「こ、コリ(これ)はぁ……」


“ジーーーーーー~~ッ”

 公園中から、たくさんの猫視線が集まる。


 猫仲間のみんなも、近くから、遠くから! そわそわぁ~、そわそわっ。


 にゃんにゃんと、ホク、ミル。

 さんにゃんの様子を固唾をのんで見守っていた。


「ウ、うにゃはッ♡」

 すると、突然! ミルが、ほやほやぁ~と、笑う。


「ど、どうしたのニャ?」

 不思議そうに、その顔を見るホク。


「いやぁ~、穴があくホド見られるトワ、こういう感じニャのネ♡」

(うっひゅひゅ~……おもシロいのん♪)


「にゃ! なんなのニャ?」


公園のみんな

(((えぇぇぇー?! や、やばぁーニャ!!)))


「み~る~……ッ」

 真面目に聞いているホクは、冗談交じりなミルに、少々お怒りモードになろうとしていた。


「ウはあっ、にゃあ! ごめんのにゃンゴ。あの 実を言っチャうと」


 ミルが慌てながら、答えた。


「にゃんにゃんは……」


 ――ゴクリッ!!

 お兄さん猫のホクは、覚悟を決める。

「にゃ、にゃんでも言ってくれだニャ!」


公園のみんな

(なんだにゃ、なんだったのにゃ~?)


「そう! なんとー!! 夏バテきゅ~んなのだニャ」


 ……。


 ……んっ?


 にゃーにょー?? ざわざわ。

(ま、まさかの??)


「にゃ、にゃあっはっは! い、いやぁそうそう! 解っていたんだがニャ~」


((エェーーーーー???))


――猫みんなの冷めた視線が、痛いイタイ。

 ホクは、ちょっとバツが悪そうに、恥ずかしそうに、にゃははっと笑った。


公園のみんな

 そうニャ~と、安心? みんなパラパラと散っていく。

(にゃんにゃん大丈夫らしいニャ)

(にゃ~良かった)



「うにゅ~にゃ~……」

 にゃんにゃんがダルいのにゃあ、と鳴く。


「しっかし、どうするにゃんかな?」

 ホクは、(ほとほと)困り果ててしまう。


「あのぉ、ホクホク? 僕にイイ考えがあるのデスが……」


 そう、ミルが言いかけた所で、どこからか歌う声が聴こえてきた。


「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ フンフン♪ は~い、どうもにぃ♪ みにゃさぁん、ご機嫌うるわちきぃー?」


 可愛い鍵しっぽを揺らしながら、陽気にやってきた歌い猫。


「あ~来たキタ。そろそろ来る頃だとオモッてたのニャ」

 

「ニャニャ~♪ あらぁ~ミル。おひさしゅう? おやおや~おっや? わたちが来るのよぉ~く分かリンゴ♪ ニャニャってぇ~♪ 待っていたのかにぃ~?」


 その猫は、リズムに乗せて話を進めていく。


 ミルの説明。

「そうナノです。実はコノ子が――」

 かくかく~しかじか~ニャん……。


「あらぁ~! なるほど、なるほどぉん!! ニャニャって~?」


 ではぁ、コチラいかがかしら? と“あるもの”をにゃんにゃんの前に差し出す。


 す・る・と!!!


「クンクン……にゃ……にゃにゃ?……う、ウ二、ウニャあッはぁぁぁ♡」


 今までのしょんぼり~が嘘のように!!

 みるみるうちに、にゃんにゃんのテンションはマックスに上がっていった!


公園のみんな

 にゃにゃあーんー!!

(なんてこったぁー!!)


「にゃ、にゃんだ?! その魔法の薬はぁ?!」


 驚いたホクは、大興奮!!!


「にゃんにゃん? 調子はドォ~だニャ?」

 ミルの質問に、にゃんにゃんは!


「にゃっふわぁ~♪ もぉ元気ぃ~! ? !! にゃに~?? 好き好きニャー♡」


「ニャッふっふ~♪ それは~それはぁ~♪」


――そーれーはぁぁ???

 みんなの猫視線が再び、一斉に向けられた。


「魔法のぉ~くすりぃんりんッ♪ マ・タ・タ・びぃーん♪ でしニャ!!」


「「「おぉぉぉぉ!!!」」」

 公園のみんな、ニャーっと、声を上げた。


ホクの声。

「そうニャのか?!」


「ニャにゃにゃにゃ~ン♪ みんなシアワセちゃ~ん?」


 『幸せを運んでくると言われる、鍵しっぽ猫』


 果たして、この魔法の薬“マタタビ”を持つ、猫の正体とは?!



【ねこねこデータ】報告書。


 番号ごぉ (謎の鍵しっぽ猫)

 

  詳細不明?! 次の報告を待て!



 にゃんにゃん情報♪

 ☆本日の習得スキル (ぱわぁー回復)

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