第4にゃ♫ ねずみさんはオトモダチ?

 今日のお空は、何だか雲行きが怪しい。

 が、しかーし! 元気いっぱいキジトラ子猫のにゃんにゃんは、楽しそうに修行をしている。


 そこへ、なが~いしっぽを、ふん、ふん♪ と揺らしながら、ひとにゃんの猫が通りかかった。


「あら今日は、ぷく様はいないですのニャ?」


「にゃ? あぁ! ルナっちぃ♪ こんにゃちにゃん(こんにちは)」


 その、美しいにゃん声の女の子は、輝く白色短毛に、背中に黒の可愛い月模様がひとつだけある、公園のマドンナで、ルナ。


「こんにちはですわ。にゃんにゃん、今日も修行頑張っていますニャね~ところで、ぷく様は……」


「今日は、おちごとっ! て、言ってたニャ」


 ぷくは、正式に『にくきゅう戦士、ぷくぷく』になったのだが、もちろん本業は『大福やさんの看板猫』。今日はお店の催しがあるのだ。

 お客様を接客して早三年……経験豊富で空気の読める福太郎は「今日は、お店にいないといけにゃい」と、大福やさんの店主も顔負け?! しっかりお仕事をしているのだった。


「そうなのですのニャ、にゃふぅ~残念ですわぁ」


 今日はぷくが来ないと聞いたルナは、少しがっかりした様子だった。


「ルナっちぃ? 元気ニャイ? 僕とかけっこするニャ??」


「にゃにゃにゃ!! 大丈夫ですニャ。それではご機嫌ニャウ(ご機嫌よう)」


 少し慌てた様子で、なが~いしっぽを今度はプイップイしながら、いつもルナが過ごす場所、滑り台の下に戻っていった。


 ポツ……ポツポツ……ザァァァ!!


 公園のみんな

「にゃにゃ!! 雨が降ってきたニャ」

「冷えるといけないのニャ、はやくはやくこの下に……」


 そんな中、まったく動こうとしない猫が、あそこにひとにゃん。


「ひゃっ! うにゃっは♪ にゃはー♪♪」


 実は、生まれて初めての“雨”を体験中のにゃんにゃん。濡れてしまうことよりも、落ちてくる雨粒が気に入ったようだ。


「これ、にゃんにゃん。こちらへ来にゃさい」


 それを見ていた長老レオが、珍しく声をかけた。

 さすがに、長老の言うことはちゃんと聞くお利口さん。レオが雨宿りをする公園の東屋に、にゃんにゃんは走ってきた。


「にゃはぁー! 楽しいかったのニャ」


「そうか。しかし、にゃんよ。水は危にゃいからのう。よく覚えておくのじゃ」


 優しく諭す長老の言葉に、お耳をぴくぴくさせながら、にょほほお~と真剣に、にゃんは話を聞いていた。


 すると、そこに小さな何かが動いた。


「にゃっ?! にゃにゃ!!!」


「どうした? あぁ~そいつは……」


 チューチュウ!!


「にゃに? ねぇキミ誰? なになに??」


「うむ。――お前も雨宿りか……子ねずみじゃな」


 ギクッ! 子ねずみは泣きそうな顔で自分よりもずっと大きな体の猫たち、ふたにゃんを見て硬直してしまった。


 子ねずみさん

『どうか……いのちだけはお助けちゅう……うちゅうぅぅぅ』


「レオ隊長、ねずみさん震えてるのニャ、どしたのニャ?」


「んっ? そうだろうニャ」


 そう言うと、レオはゆっくりと子ねずみさんに近づいて行った。


 子ねずみさん

『あぁぁぁおでいかんさまぁ! おゆるしをー』


 チュウ――チュゥゥ!!


「そうかそうか、雨宿りチュウ―言っておるな、ニャッはッは~!」


「ねぇねぇ~、ちょおおろぉ♪ ねずみんもオトモダチ??」


 それを聞いた長老レオは、一瞬迷いがあった。が、しかし。今はにゃんにゃんの、を伸ばしてやりたい、そう思い答えた。


「ニャむ……そうじゃな。オトモダチじゃ」


「ねずみしゃん……オトモダチ♪ でもちいちゃいにゃ、あそべないニャ!」


 そうしてレオは、ウキウキしているにゃんにゃんの背中と頭を、雨水を飛ばすようにパタパタする。


 そのままの心で育ってほしいと、雨が上がるまで撫で続けた。



【ねこねこデータ】報告書。


 番号よん (ルナ)

 毛色   (白色にひとつ、黒の月模様)

 性格   (品格のある姫様タイプ)

 ねこレベル(公園のマドンナ)

 防御スキル(長いしっぽ)

 隠れスキル(みんなを応援する)


 おうち  (もふもふ公園滑り台の下)



 にゃんにゃん情報♪

 ☆本日の習得スキル(お話が聞けるお利口さん)

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