第2にゃ♫ あそんでくれるのニャ?

 平和なもふもふ公園で、ある日その事件は起こった。


 にゃんにゃんはいつものようにてってけ修行。その途中で土管の上に乗って遠くを見渡していた。これは公園の安全を守る警備(?)をしている(らしい)。


 すると、誰かの声が聞こえてきた。


「にゃんにゃん? にゃんにゃん? そこで何をシテルのですか?」


 話しかけてきたのは、もふもふ公園ななにゃんのうちの、ひとにゃん(ひとり)。

 頭脳明晰、みんなの博士的な存在! グレーのしま模様が美しく知的さが溢れ、イケメンで女の子に大人気♪ その名は、サバトラ猫のミル。


「はにゃ~? あっ! ミル兄様こんにゃちは♪ 今日もかっくいーですのニャ! にゃんは今、公園のをしてるのだニャ」


 エッヘン! と、得意気に答えたにゃんにゃんだったが……それを聞いたミルは、笑いながらご指導をする。


「あぁどうモ。そうナノですネェ。あのしかし、にゃんにゃん。それは“ケビン”ではなく“ケイビ”ですニャ」


 それを聞いたにゃんは、びっくりした顔で

 お目めはまんまるで、突然「にゃんだってぇー!」と走りながら土管から滑り、ミルの所へ下りて来た。


「ミルミル兄様!! にゃん、初めて知ったにゃ。ありがとぉニャ♪」


「そ、そ、そうダッタの。それは良かっタヨ、にゃははぁ……」


 間違った言葉を、どこで覚えたのかな~と、考えるミル。そんなミルの気持ちもつゆ知らず。にゃんにゃんはというと……???


「あったらちぃこと、おっぼえったぁニャ~♪」


 うっれしーの、にゃ~にゃ~にゃ~♪ と、ほやほや笑いながら公園の原っぱに寝っ転がり始めた。


「にゃんにゃん、ケイビはもうイイノですか?」


 にゃんにゃん。

 ニャッ! と起き上がる。


「ミル兄様、にゃんは!! 戻るでありますニャ!」

 そう言うと、元気よくまた土管の上へ走って行った。


「ニャあぁぁ……」

(えぇぇ~。だーカーらー、ケイビね……)

 ミルは心の中で、思いっきりツッコミを入れていた。


「ニャフッ!」……ミルは、急に危険を感じた。


 そしてそれからすぐに、後ろから声が!

 それはそれは、すご~く低~い声。


「ニャイッ! そこのキジトラ子猫!!」

 ミルは背筋がゾーッ。振り返ってさらに、ギョーッ!!


「き、キミは! 四丁目のトラじゃにゃいかァ?!」


 イケメンミルの威嚇モード発動。

「シャーッ!!」


 しかし、肝心の警備員(?)にゃんにゃんはというと?

「――♪♪」


 ……自分の世界に浸っていて聞こえていない。


「イケメン君に、用はない。そこをどくのニャ!!」

「そうにゃ、そうにゃ!」


 四丁目を縄張りにしている、とある家の飼い猫。茶ぶちの、トラ。

 合いの手を入れてくる猫は、トラの弟。やっぱり茶ぶちの、ドラ。


 トラは、ミルの威嚇をモノともせずに土管に近づく。


(ダメにゃ、僕タチじゃ敵わない相手だニャ)

 ミルは、可愛い子猫の後輩猫……つまりにゃんに危険を知らせる。


「にゃんにゃんッ!! 逃げテなのニャー」


「にゃあ?」

 しかし、にゃんにゃんは逃げることなくぼーっと、土管に上って来るトラとドラの様子を見つめていた。


 そして、上り終えたトラの第一声はもちろん! ひっく~い声で!


「よぉ、元気かい? 生意気子猫ちゃん」

 と、トラが言うと。


「生意気―! ナマイキッ!」

 続いてドラが言う。

 

 それを聞いたにゃんにゃんは、なぜか喜び始めた。


「にゃ? にゃあ♪」


(なんだ?! これはガツンと言ってやる!)

「おまえ、長老に……」


 お目めキラッキラのにゃんにゃん。話も聞かずに、しゃべるトラに飛びつく。


「お兄ちゃんたちッ! 僕とあそんでくれるのニャ? にゃにゃ~あそんでくれるのにゃああ??」


 キャッキャ! きゃきゃっきゃ~♪

 

 にゃんにゃんはよっぽど嬉しいのか? 大きくのどを鳴らし始めた。


 グルぐるぐるぐるぐる。


「…………」


「に、兄ちゃん?!」


 にゃんにゃんに、じゃれまわされ、黙っているトラを心配した弟のドラ。その声でトラは我に返る。


「そ、そうだ。お、お前、名前はなんだ?」


 トラは恥ずかし顔で聞いた。


「にゃっは? 僕のニャ?」


「そうにゃ! 兄ちゃんが聞いてるニャ! 早く答えるニャ!!」


 と、ドラが言い終わる頃には、にゃんにゃんのポーズが始まっていた。


「愛と平和の! にくきゅう戦士! にゃんにゃ~あん」


――決まった……キラーん!


(にゃフ~、やばーのデスよ~)

 ミルはもうダメだぁー、と目をつぶる。


「フッ……おまえ」


「おまえ! おまえー!!」


 ちょこん、と座るにゃんにゃんに、低いトラの声。


「可愛いじゃあにゃいか……」


「そうそう! 可愛い……んにゃ? に、兄ちゃん?!」


 そう言うと、トラは土管を下りて、公園の出入り口へ向かう。ドラも慌ててついて行く。


「のぉー! お兄ちゃんたちぃ~もう帰るのニャ?」

 にゃんにゃんはトラを追いかけた。


 すると、ひとこと言ってトラとドラは去っていった。

「フッ。にゃんにゃん、四丁目に来たら相手してやるニャ」


「にゃっはー!」


「ど、どういうコトにゃのか??」

 賢いはずのミルも、今回は意味ワカメ? あっ、意味ワカラナイ?


 しかし、無事に……こうして、にゃんにゃんのおかげ(?)で、二丁目もふもふ公園の平和は守られたのだった。


「お兄ちゃんたちッ! まったにゃ~ん♪」



【ねこねこデータ】報告書。


 番号にぃ (イケメン人気者ミル)

 毛色   (薄グレー色のサバトラ)

 性格   (頭脳明晰! 話し方が不思議くん)

 ねこレベル(みんなの博士)

 攻撃スキル(威嚇「シャーッ!!」)

 隠れスキル(危険予知で警告)


 おうち  (もふもふ公園)



 にゃんにゃん情報♪

 ☆本日の習得スキル(じゃれまわる)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る