甘くて苦い口づけ
彼女が紫煙を細く吐き出す。小さなアパートの最上階。ベランダで蛍族の彼女。俺は煙草は吸わないから、手摺りにもたれて少し煙草の煙を含んだ空気を肺に入れながら、彼女とぽつりぽつりとどうでもいい話をするこの時間が好きだ。副流煙は体に悪いから、と部屋の中に入るように促す彼女の言うことを無視して彼女と並ぶこの時間が好きだ。ふふ、と笑う口から漏れる白い煙が夜風に攫われて消えた。徐に塞いだ彼女の唇は苦かった。
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