お嬢様の憂鬱

 こんな家に生まれてしまったのが運の尽きだったのかもしれない。物心ついた時からついてくれるメイドしか知らない、わたしの怠惰。メイドは最初、わたしにもっと明るくアクティブになるよう仕向けたが、わたしは全く靡かなかったので、今や諦めたようだ。

「はあ、ゆっくりしたーい」

「もうゆっくりなさってますよ、お嬢様」

 コルセットしてる時点でゆっくりできてない、という言葉は飲み込んだ。きっと怒られるから。

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