第6話 正月様には逆らえません!!

「ハァ~来てしまうぞ正月がぁ~!!」


「ハァ~……」


「どうしたの?さっきからため息ばかりついて」


明日で正月、人間達はめでたき年が来るのを待ち望んでいるのに対し、この猫は……いや祟り神のコハナちゃんは、肺が枯れそうになるくらいため息をついていた。


「お前ら人間共がバカ騒ぎしている間に、我は正月様の所に行かなきゃならんのだ」


「正月様?」


「年に1日だけ現世に降臨される御方だ!」


「どんな人なの?」


「人ではない神だ!正月様は日本の全ての神々の頂点に君臨されている御方だ、機嫌を損なえばたちまち殺される、とても恐ろしい方なのだ」


「とにかく、今日1日我は正月様の元へと行く!」


そう言うと瞬間的に姿を消したのであった。

――――

―――――――

――――――――――

「しっしっ正月様!本日もお日柄が宜しく……」


「ムー」


真っ白い空間に何人かの神々が、おでこを地面につけながら正月様と呼ばれる神に平伏していた。


見た目は人間の青年のようだが、どこか威厳を感じる。


「本日はめでたき年、我等一丸となって正月様を御奉仕させていただきます」


「ムー」


こうして神々は、正月様の為に働き始めるのであった。


「正月様、こちらの特産物をどうぞ」


「こっこちらもどうぞ」


「ムー」


「……(ハァ~めんどくせぇ~)」


「何か思った?」


「いえ!!何も!!」


「ここも拭く」


「はい!!」


「ちゃんと拭かなきゃ……分かるよね?」


「ヒィ!!(けっ消される!!?)」


神々は正月様にお供え物を渡したり、正月様の社をコハナちゃんが拭いてたりしていた。


そして時は過ぎ――


「つ、疲れた……帰るか」

――――

―――――――

――――――――――

「ハァ~ちかれた」


「お帰りコハナちゃん」


「ん?お前まだ夜ご飯食べてなかったのか?」


「だってコハナちゃんと食べたいし、コハナちゃんがいないと寂しいから」


「お前……フッ――」


「食べようぞ、美海」


「今初めて名前で呼んだ!?」

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