第4話 お菓子くれなきゃ祟るぞ?
季節は10月終わりの秋――
木々が徐々に紅葉へと生まれ変わり、さながら山々はファッションショーの最中。
人々は紅葉を見て楽しんだり、秋特有の食材に舌を喜ばせ、スポーツに心踊り……人々は秋という季節にうつつを抜かしていた。
しかし秋という季節の中で、最大のイベントなのが――
「トリックアトリート~」
「何だそれは?」
「何だって今日はハロウィンだよ?こうやって近所の人からお菓子を貰うの」
「ほぅ」
美海の話を聞いて何やら考えているコハナちゃん、すると何か考えついたようで、美海の隙を突いて巧みに窓の鍵を開け、満月の夜を駆け抜ける。
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―――――――
――――――――――
夜の閑静な住宅街にインターホンがこだまする……中から出てきた若いお姉さんは、外にいる男の子に心臓が飛び出るぐらい驚く。
ハロウィンと言えど、こんな住宅街でやってくる人なんてまずいないからだ。
どうしようか悩んでいると――
「確か……トリックアトリート~」
「お菓子くれなきゃ……祟るぞ?」
「ヒイィィィ!」
やはりただの男の子ではない、これは幽霊だ。
そう感じ取ったお姉さんはすかさずドアを閉める。
「……お菓子くれないじゃないか」
男の子の姿から白い猫へと変身する……正体はコハナちゃんだった。
その後も何度も何度も試してみるも、ダメ、ダメ、ダメ、ダメ、ダメ……――
「誰もお菓子をくれないじゃないか!!!!」
公園の隅で一人……いや一匹嘆くコハナちゃん。
当然成果は無く、途方にくれるコハナちゃんだったが、そこへ――
「トリックアトリート~」
「美海、お前……」
後ろから肩をトントンされ振り替えると、お菓子を片手に持った美海がいたのだった。
「勝手にいなくなるから心配したんだよ?」
「……すまぬ」
「じゃあ、帰ろう?」
「うむ」
2人は横に並び帰路へと着く。
「お前のお菓子のチョイスは壊滅的だな」
「えぇ~おかき美味しいじゃん!!」
「若いのがおかきとはな……」
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