第17話 興味津々な舞子さん

 「正志、そろそろ起きて」

舞が布団で寝ている俺を揺する。


「あと5分…」

まだ寝足りなくて起きれる気がしない。


「あたしの部屋にいるんだから、あたしに合わせなさいよ!」


「はいはい…」

確かにそうなので、頑張って目を開けて体を起こす。


それにしても眠いな。今何時なんだ? 俺はすかさず掛け時計を見る。


「…って、まだこんな時間かよ? 普段の俺ならまだ寝てるぞ」

いつもより早く起こされたんだから、眠いのは当然だ。


「朝の準備があるでしょうが!」


「もちろん俺だって準備ぐらいする。…適当だけど」


「男の準備は楽で良いわね」


舞はため息をついた後、小さい鏡と櫛を準備して髪をとかし始める。


「いつもこれぐらいの時間に起きてるのか?」


「そうよ、朝食の前に寝癖を直さないと。その間に目が覚めるって感じね。寝起きの顔でお母さん・お父さんに会いたくないから」


「ふ~ん。俺はそんなの気にしないけどな」


「そう…」


俺、早く起こされた意味ある? 朝食ギリギリまで寝れたよな?


「……よし終わった。正志こっちに来て、とかしてあげる」

舞は俺を見て手招きしたんだが、途中で視線が下に移動する。


「それ、いつまで大きい訳?」


舞が見ている先には、朝立ち中のがテントを張っている。


「それはわからん。計った事ないし」


「わからないの? お願いだから、そんな状態でリビングに行くのは止めてよね。お母さんに誤解されるかもしれないでしょ?」


「舞子さんは“朝立ち”わかるはずだし、誤解されようがないだろ?」


「お母さんの事だから、一晩中か朝早くからHしてたって思うんじゃないの?」


そんな気もするし、考え過ぎのような気もする。…今の言葉、もしかして舞の願望が入ってる? だからスラスラ出てきたのでは…?


詳細はどうであれ、舞に注目されたから朝立ちの時間は長引いたな。


「? どうかした?」


「何でもない。本当に髪とかしてくれるのか?」


「もちろん。彼氏のあんたに寝癖があったら、あたしの立場がないじゃない。…とかしてる間に、小さくしといてよ」


自分でコントロールできるなら苦労しないって。俺は心の中でツッコんだ後、舞のそばに行く。



 「…どうよ? 良い感じじゃない?」

俺の髪をとかし終えた舞が言う。


鏡で見た感じだが、いつもより髪がサラサラしてるような気がする。とかす意味はあるっぽいな。


「良い感じだよ。ありがとな舞」


「どういたしまして。…も収まったみたいね」


一皮むけた舞は、俺の股間を多少恥ずかしがりながらも直視するようになった。もしで見たら、どういう反応をするんだろう?


「もうそろそろリビングに行きましょ」


「わかった」



 リビングに向かうと、舞子さんと拓海さんが向かい合って朝食を食べている。…既に俺達の分は準備されている。


「おはよう舞・正志君」


最初に声をかけたのは舞子さんだ。


「おはよ」

「おはようございます」


挨拶後、俺達は席に着く。俺の隣は拓海さんで、舞の隣は舞子さんになる。


「正志くん、昨日はよく寝れたかな?」

席に着いて早々、拓海さんが気にかけてくれた。


「はい。おかげさまでグッスリ寝れました」


俺の言葉を聴いた舞子さんが一瞬クスと笑ったような?


「それは良かった。若いからといって、徹夜は厳禁だぞ。覚えておくと良い」


「はぁ…」

何で急にそんな事言い出すんだ?


「…ごちそう様」


最初に食べ終わった拓海さんは、食器を流しまで持って行った後にリビングを出る。


「ねぇねぇ。昨日はどうだった?」

舞子さんが無邪気な様子で切り出す。


「特に何もしてないですよ」

本番は金曜の夜だ。翌日が休みなら、多少の夜更かしはOKになる。


「本当? ベッドの上で激しくしたからグッスリ寝たんじゃないの~?」


「お母さん! 正志の言う通り、何もしてないから!」


「昨日は? …これからに期待ね♪」


舞子さんはこんな事言うけど、母さんならなんて言うかな? そんな風に思いながら朝食を食べ続ける…。

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