第15話 助けて! 舞子さ~ん!

 舞が風呂に入っている内に、リビングにいると思われる舞子さんに色々訊いておこう。できれば拓海さんはいないと良いが…。



 リビングに入ると、テーブルの椅子に座っている舞子さんが1人でテレビを観ている。拓海さんは…いないな。多分自室にいるんだろう。


「あら、どうしたの? 正志君?」


「舞子さん。時間があれば相談に乗ってくれませんか?」


「良いわよ」


許可をもらったので、向かい合って座る。


「実は、舞の様子がおかしいんです」


「舞の? カレー食べてる時は、少しイライラしてたぐらいよね?」


ダイエットでおかわりできないイライラだったな。結局、それについて詳しく訊いてなかった…。


「はい。舞子さんと話した後に舞の部屋に戻ったら『イライラしてゴメン。あたしのできる範囲でお願いを聴く』と言ってくれまして…」


「あの子もようやく素直になったのかしら?」


「多分ですけど。俺は『舞の気持ち良い顔を見たい』と伝えてから、実際に気持ち良くしました」


「何をしたの?」


「耳に息を吹きかけたり甘噛みしたり、首筋を舐める感じです」


「正志君大胆ね~♪」


「今思えばそうですね。調子に乗った俺は舞をベッドに押し倒してから、胸に軽く触れました。に行こうとした時、舞子さんのノックで中断したんです」


拓海さんが予定より早く帰ってきたから、早めに風呂に入るように言った件だ。


「えっ? 私お邪魔しちゃったの? 本当にごめんなさい」


「いえ良いんです。問題はその後で…」


「? 問題なんてなさそうだけど?」


「舞が変な事言ったんです。『あのまま続けてたら気持ち良すぎておかしくなるというか、もっとハマるというか…』って」


「正志君のテクニックにメロメロになったのね♪」


「気持ち良いのは良い事なのに、どうして舞は乗り気じゃないんでしょう? それが全然わからないから、舞子さんに相談したんです」


「なるほど。確かに男の子にはわかりにくいかも」


男にはわかりにくい? どういう事だ?



 「個人差はあるけど、女の子は男の子より感じやすいの。舞はのを怖がってるかもしれないわ」


「感じやすい? 何で男女に差があるんですか?」


「何でと訊かれると難しいわね。女の子はだけど、男の子も同じように敏感で問題ないはずだし…」


あの舞子さんにわからない事があるだと? 信じられないと思うと同時に、エロの世界の奥深さについて考えさせられる。


「とにかく、さっき言った通り正志君のテクニックに舞がメロメロになったのは間違いないわ。感じやすくても、何でも良い訳じゃないから」


「そうなんですか…。じゃあ、程良く感じてもらえれば良いのかな?」


「それも選択肢の1つね。Hは一緒に気持ち良くならないとダメだから、独りよがりは厳禁よ。覚えておいて」


「わかりました」


舞は感じやすいのか…。それがわかったのは大きい。その事実をどうするかは俺次第だ。


「相談に乗ってもらいありがとうございました。…では」

俺は席を立ち、リビングを出ようとする。


「ちょっと待って!」


「? どうしました?」


「今夜2人の関係はさらに進むと思うけど、拓海さんの言った事忘れないでね」


「大丈夫ですよ。ちゃんとわかってます」


「明日の朝、2人の話を聴かせてちょうだい」


「舞が許してくれたらですけど」

この相談だって、話すべきか悩むぐらいだし…。


「それで構わないわ」


笑顔の舞子さんに見守られながら、俺はリビングを後にした。

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