第14話 舞の変化

 舞の家の一番風呂に入りながら、さっきの事を考える俺。舞子さんが来なければ、に行けたかもしれないのに…。


って、俺は何を考えてるんだ! 舞子さんはこの家に泊めてくれる優しい人じゃないか。いくら娘の彼氏かつ幼馴染でも、泊める義理はないからな。


スイッチを入れれば舞はエロくなる。それがわかっただけでも良しとしよう…。



 風呂が済んだので、舞子さんにお礼を言おう。リビングにいると思ったから向かうと、カレーを食べている拓海さんと向かい合って話していた。


「あ、すみません。お邪魔してしまって…」


「良いのよ」


「正志くん。ちょっとこっちに来てくれないか?」

拓海さんが手招きしたので、舞子さんの隣に座る。


彼と会ったり話したりした事はあまりないが、堅苦しい人じゃない。今も表情は穏やかだから勘違いじゃないはず。


「舞子から聴いたよ。大変な事になったらしいね」


「はい…」

父さんの出張と母さんのポロナ感染が被ったからな…。


「困った時はお互い様だよ。隣同士なんだから尚更だ」


「ありがとうございます」

2人共、本当に優しいよな。


「ここにいる間、舞の部屋に泊まると聴いたが…」


もしかしてダメか? 「リビングで寝ろ」とか言われる?


「付き合ってる2人が同室なんだ。Hするのは良いが、くれぐれもしないように。これは真面目に言っているからね」


「わかっています。忠告ありがとうございます」


「話は終わりだ。舞をよろしくな」


「そう言えば正志君。どうしてここに来たの?」


舞子さんに言わなければ、そのまま戻るところだった。


「風呂の礼を言うためです。一番風呂ありがとうございました」


「気にしないで。舞になるべく早く入るように伝えてちょうだい」


「わかりました。…では」

俺はリビングを後にする。



 舞の部屋の扉をノックした後に返事をもらったので、すぐ入る俺。彼女はベッドのふちに座ってぼんやりしている。


「舞子さんが言ってたんだが、すぐ風呂に入れだって」


「わかったわ…」


「どうした? 魂が抜けたようになってるが?」

無気力状態と言うべきか?


「さっき、正志にしてもらったじゃん?」


「ああ…」

もしかしてそれで怒ってる? …いや、とてもそうは見えない。


「お母さんが来たから途中で終わったけど、それで良かった気がして…」


やっぱり嫌だったか? 今後できないのは仕方ないが、無理強いはできない。


「あのまま続けてたら気持ち良すぎておかしくなるというか、もっとハマるというか…」


? 気持ち良いのは良い事だろ? 何で歯切れが悪いんだ?


「なんて言ってもよくわからないよね。お風呂から出たら正志に同じ事してあげる」


舞はそう言ってから着替えの準備を始め、終わり次第部屋を出て行く。



 舞の言った事を考えたが、何が問題だったり悪いかがわからない。“同じ事をする”というのは仕返しのつもりか? でもその割に覇気がなかったな…。


こういうのは男子と女子の違いになる? だったら、俺1人で考えても埒が明かないぞ。年上で経験豊富な舞子さんに訊いてみるしかない!


さっき拓海さんにHして良いと言われたが、早々にするとは思ってないだろう。できれば聴かれたくないから、リビングにいないと助かる。


逆に舞子さんはリビングにいるかな? いなければ自分の部屋だと思う。


舞子さん助けて~。俺は心の中でヘルプを求めながら、舞の部屋を出てリビングに向かう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る