第11話 舞子さんに禁断の質問をしてみた

 風呂掃除が終わったので、俺は舞と共にキッチンにいる舞子さんの元へ行く。


「舞子さ~ん。風呂掃除終わりました~」


「お疲れ様」


…彼女は舞が着ているちょい透け白Tシャツを見て、一瞬クスっと笑った気がした。


「次は野菜を切ってもらうわね。こっちに来てちょうだい」


「わかりました」


「お母さんがいるから、あたしは部屋に戻るわ」

舞はそう言って、キッチンを後にした。



 「あの子のTシャツ、明らかに透けてたわね。気付いてるのかしら?」


舞がいない今、ようやく舞子さんと本音で話せる。


「気付いてますよ。でも『乾くのを待つ』って言ってました」


「あれは『好きなだけ観て』って合図ね。素直じゃないんだから」


「俺、舞はムッツリだと思うんですよ。舞子さんはどう思います?」


「…そうかもね。あの子はスイッチが入れば乱れると思うわ。私と拓海さんのを覗くぐらい興味はあるはずだから」


「俺もそんな感じです」

問題は、どうやってそのスイッチを入れるかだが…。


「話の続きは、野菜を切り終わった後ね。野菜以外はもう済んでるし、気楽にやってちょうだい」


「わかりました」

俺は包丁を手に取り、キレイなまな板の前でスタンバイする。



 「カレーは煮込むから、大きめに切ってくれたほうが良いわね」


舞子さんがまな板に具材を置いた後そう言ったので、早速大きめに切ってみる。


「これぐらいで良いですか?」


「ええ。…しっかり“猫の手”ができてるわ。ぎこちなさはあるけど、回数をこなせばテンポ良く切れるでしょうね」


「ありがとうございます」


俺は集中して他の具材を切る事にした。舞子さんに禁断の質問をするための時間を確保したいからだ。舞がいない今じゃないと厳しい。


「…ふぅ、全部切り終えました」


「ありがとう、後は煮込んで調整するだけね。後は私がやるからゆっくりして」


「はい」


「今なら手が空いてるから、話の続きをしてあげるわよ?」


「そうですか? じゃ早速…」

俺は覚悟を決めてから、禁断の質問を切り出す。



 「舞子さん。って気持ち良いんですか?」

やっぱりこれが気になる。未経験者にはわからない事だからな。


「そうね~。個人差はあるけど、私はとても気持ち良いわ♡」


「へぇ~。でも太いのを入れられて、気持ち良くなるとは思えないんですが?」

舞の言葉を引用させてもらった。


「逆よ。太くて長ければ長い程、気持ち良くなるの♡」


「? どうしてですか?」

理屈がさっぱりわからん…。


「正志君。をやる意味ってわかる?」


「受精させるためですよね?」

精子を卵子の元に送り届ける手段になる。


「その通り。太い状態は寸前を表すの。そしてなるべく長いほうが、多くの精子が卵子の元に到着しやすくなるわよね? スタートが、ゴールの卵子により近くなるんだから」


「確かに…」


「つまり女の体は、“太くて長いお〇ん〇ん”が好きなように出来てるの。わかるかしら?」


「すごくわかりやすいです。さすが舞子さん」

伊達に経験者じゃないな。


「さっきのって舞が言ったの? “太いのを入れられて”の部分」


「そうです」


をしないとさすがの私も痛いと思うわ。やった事ないけど」


「前戯ってなんですか?」


「それはね…」


舞子さんが言う途中で、階段を下りる音が聞こえてきた。舞がこっちに来るぞ。


「続きはまた今度。私の目の前で舞に手を出したらアドバイスするわよ?」


「それはさすがに厳しいです」

ビンタとか殴られるのがオチだろう。


「……良い匂いがしてきたから見に来ちゃった」


舞のTシャツは乾いたのか、透けが緩和されていた。もっと見たかったのに~。


「もう少し調整したら食べられるわよ?」


「すぐ食べたい!」


「わかったわ。テーブルで待っててちょうだい」


「は~い」


「正志君も一緒に付いて行ってあげて」


「わかりました」

カレーができるまでの相手になろう。



 テーブルに向き合って座る俺と舞。何を話そうかな~?


「ちゃんとお母さんの役に立ったでしょうね?」

舞がジト目をしながら訊いてくる。


「立ったよ。ぎこちないとは言われたが、大目に見てもらった」


「なら良いけど。…それと」


「? 何だ?」


「2人で嫌らしい話ををしてなかった?」


「してないよ」

の話をしたんだ。決して嫌らしい話じゃない。


「本当かな~?」


「舞。彼氏の正志君を信じてあげなさい」

トレイに俺達2人分のカレーを乗せて、舞子さんがそばに来た。


「だって、スケベな正志とお母さんの組み合わせよ? 何もないなんて不自然じゃない」


実際は舞の言う通りだが、彼女の想像でどういう話が展開されたんだろう? 内容によっては、ムッツリではなく“超ムッツリ”にでも昇格してあげよう。


「舞の想像に任せるわ」

舞子さんはカレーを俺達の前に置いてから、再びキッチンに向かって行く。


…すごく良い匂いだ。母さんのカレーに勝るとも劣らない完成度だぞ。


「相変わらずお母さんのカレーはおいしそうね。…いただきます」


「いただきます」


俺達は舞子さんが作ったカレーを頂く事にした。

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