第5話 あの日トーク②

 舞子さんから“生理”について聴いた俺。男には縁がないとはいえ、大変なのは伝わってきた。なるべくいつも舞を気遣わないとな。



 「舞子さん。生理で気になる事があるんですが…」

縁がなくても、気になるものは気になる。


「何かしら?」


「生理中は風呂に入れるんですか?」

普通に考えたら厳しいと思うんだが…。


「体調や状態によるけど、基本的にはOKよ」


「そうなんですか…」


「あんたがそんな事気にするなんて、らしくないじゃん」

隣に座っている舞がからかってくる。


「そういうの知らないと、旅行とかデートの予定が立てられないだろ?」

舞子さんは俺達の今後のために話しているんだから、活かさないと意味がない。


「デートはともかく、旅行は気が早いって。あたし達まだ中3よ?」


「確かにそうだな。気持ちが先走っちゃったよ」


「…正志君も案外、すぐしっかりするようになるんじゃない?」


「どうかしらね? ただの気まぐれでしょ」


母さんの辛口コメントが気になる。舞子さんの優しい言葉が身に染みるよ…。



 「勉強熱心な正志君のために“生理用品”について補足してあげる」


ぶっちゃけそこまで興味ないんだが、舞子さんの様子を見ると言いづらい。


「主に使われるのは『ナプキン』と『タンポン』になるわね」


「あの…、タンポンって何ですか?」


「座薬のようにタイプの事よ。ほとんどの女性はナプキンを使うみたいだけど」


「座薬? 聴いたことないんですが?」

特別な薬なのかな?


「えっ!?」


母さんとと舞子さんはともかく、舞にまで驚かれるなんて…。


「アンタ、それは一般常識の範囲よ?」


「そんな事言われても、俺使った事ないよね? 母さん?」


「ないけど、舞ちゃんは知ってるのよ?」


「舞は座薬使った事あるか?」


「あたしもない。恥ずかしいし勇気いるから…」


「恥ずかしくて勇気がいるってどういう事?」

一体どんな薬なんだよ?


「正志君。座薬っていうのは、『お尻に入れる薬』なの」


舞子さんが解説してくれたものの、意味不明なのは変わらない。


「何で尻に入れるんですか? 尻はでしょ?」

念のため“う〇こ”は避けておいた。


「そうとは限らないわ。一部の人にとって、お尻はでもあるの」


「入れるところ…?」

さっきから話に付いていけない。


「正志君はこれからも純粋でいてね。はもっと大人になってから楽しんでちょうだい」


「大人になってもダメだから!」


母さんのツッコミに反し、舞子さんの意味深な発言が気にある俺だった…。



 「ねえお母さん。ちょっと確認したいんだけど良い?」

舞が舞子さんに声をかけた。


「どうしたの? 舞?」


「お母さんが正志に女について教えるのは、なのよね?」


「そうよ。それがどうかした?」


「だったら、あたしも男について知るべきなんじゃないの?」


「ん~、確かにそうね。舞はどこが気になるの?」


「そりゃよ!」


舞は俺の股間を指差すが、机を挟んでいる舞子さんと母さんには見えてるのか?


の解説は正志君にお願いするわね。…良いかしら?」


「了解です! 舞、耳をかっぽじって聴いてくれよ!」


「そこまで興味ないから…」



 今までとは違い、今度は俺が舞に教える流れになった。うまく説明できる自信はないが、多分何とかなるだろ。

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