可愛い子猫とネズミをくれた親猫

肩ぐるま

可愛い子猫とネズミをくれた猫

古い昭和の思い出です。

うちの親はずっと猫を飼っていた。だから子どもの頃から、猫はずっと身近にいた。

猫は、半年に一度くらい、子どもを産む。一度に数匹の子猫が産まれて、この子猫が、自分が子どもの頃の、いい意味でのおもちゃだった。親猫は、子猫が産まれそうになると、産む場所を探し始めるので、当時は、ダンボール箱に布の端切れや、要らなくなったボロタオルを敷いて、押し入れの中の暗い所に置いてやると、その中で子猫を産んだものだった。

産まれた子猫は、あまり小さいうちに人が触ると、親猫が取られると勘違いして子猫を食べてしまうので、子猫の目が開く頃までは、子猫に触らないようにと、注意されたものだった。

目が開く頃の子猫は、めちゃくちゃ可愛い。子猫の爪と歯も、細くて小いが、とても鋭くて、噛まれたり引っかかっれたりすると、ひどく痛い。

痛いけど、人間の皮膚を傷つけるだけの強さはないので、噛まれたまま、我慢してやる。

何匹もの子猫を身体中に乗せて、服にしがみつかせたりしていると、かならす、何匹かは、手首にしがみ付いて、噛みつきと後ろ足の両足同時蹴りで攻撃してくる。

子猫は、何にでも飛びつく。自分の手を猫手にして、子猫の前で左右に動かしてやると、子猫は、その手に飛びかかろうとして、いっちょ前に頭を低くして、お尻を左右に振る。

その姿は、子猫の可愛い動作のNo.1ではないかと思う。

そんな子猫達は、いつまでも家に置いておけないので、出来るだけ小さいうちに、近所の家に貰ってもらう。その当時は、それだけ、猫を飼う家が多かったのだろう。

大人の猫は、子猫のように遊ぼうとしない。

人懐っこい猫もいれば、そうでない猫もいた。

そんな猫達の記憶の中で。一番強烈だったのは、ネズミをくれた猫だった。

もう大人のメスの猫だったが、自分(筆者)のことを、子猫と勘違いしているような節があって、ある日、目を覚ますと、顔の横に小鼠の死体が置いてあった。しかも、ご丁寧に、上半身は猫自身が食べたのだろう、残りの体の半分だけを、分けてあげたよ、と言わんばかり置いてあったのだ。(この話は、実話です)

何とも、不思議で驚いた、猫の行動だった。

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可愛い子猫とネズミをくれた親猫 肩ぐるま @razania6

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