第6話 精霊の住まう樹海の世界
クゥに連れられて歩いていく。
湖からほどなくして樹海の中を歩いていく。
木々の間に、小さな毛玉がいるのに気付いた。
少し前までの僕…つまり、あれは微精霊か。
ん?いま、僕は何になっているんだろう。
少し前までは、あの毛玉と同じだった。
でも、今は手足がある。
「今日は、精霊さんがいっぱい」
「いつもはこんなにいないの?」
そう聞いた僕の顔を不思議そうに見る彼女。
僕は、なにか変なことを言ったのかな?
「見えるの?精霊さん」
「…見えてるけど」
「やったぁ、仲間がいた」
普通は見えないものみたいだな。
なんだか、クゥに内緒にしておくのは忍びないような気がした。
「私の村の人たち見えないの…昔の人たちは見えたって御婆が言ってた」
エルフって、精霊魔法とか得意なイメージなのに…ん?なんでそう思うんだろう。
ていうか、精霊魔法って何?
というか、エルフって。
僕は、知らないはずの知識が湯水のように湧いてくる。
「…僕は、どちらかと言えば精霊だから」
「そうなの?人型の精霊さんなんて知らない。それに、カイトくんは暖かい」
「微精霊は、暖かくないの?」
「微精霊?精霊さんじゃないの?」
「小さいけど精霊だよ。
まだ、力をほとんど持っていないね」
さっきまでの自分の状況からそう言った。
あの時の僕は、何の力もなく風があれば吹かれてしまうほどに弱かった。
「精霊さんは、触れない」
「そうなんだ」
じゃあ、僕はなんなんだろう。
そう考えていると、僕の周りに無数の微精霊が集まってくる。
声はない。
でも、なんとなく嬉しそうにしている気がする。
「カイトくん、凄い。精霊さんと仲良し」
うーん、仲良しと言うか同族だから会えて嬉しいって感じかな。
微精霊からは、上位の存在にあった尊敬の眼差しを感じるし。
「え?違うの?」
急に、クゥが僕ではない何かと会話を始めた。
もしかして、微精霊と話してる?
意志の疎通が可能なのかな。
「わぁ、そうなんだ」
そして、驚いた声を上げる。
彼女から、微精霊と同じ尊敬の眼差しを向けられる。
なんでだろう。
「カイトくんは、小神霊だって。みんな言ってるよ」
「僕って、小神霊なんだ。そうなんだ…」
「知らなかったの?」
「うん…」
それにしても、小神霊ってなんだろう。
僕は、首を傾げながらクゥと樹海を歩いていく。
Re:START ちっぽけな存在から始める・・・ 天風 繋 @amkze
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