第2話 SCという名の世界

この世界は、VRMMO『Sacred《セイクリッド》・Corpse《コープス》』(略:SC)と言うゲームの世界だと思う。

あのゲームは、確かメインストーリーは…ああ、そうだ。

聖なる死体セイクリッド・コープスと呼ばれる聖人の遺骸。

それが、発見されたことによって始まる物語だったかな。

再誕の祭壇は、その聖人が再誕を果たす場所だとされていた。

プレイヤーは、その聖人の転生体としてこの世界に誕生する。

聖人は、様々な姿で世界に出現する。

まあ、キャラクターメイクと幾千と言う転生プレイヤーなだけだ。

10年以上も前にプレイしていたゲームだからあんまり詳しいことは覚えてない。

えっと、ステータス画面ってどう出すんだったかな。

うーん、思い出せない。

それにしても、さっきからおかしい。

身体が熱い気がする。

暑い?うーん、そうだ。

陽だまりの中にいるようなポカポカする感じだ。

うーん、ウトウトしそうだ。

まあ、瞼が無いから『寝る』なんてできないだろうけど。

僕は、この世界ではどんなプレイをしていただろう。

ダメだ、プレイスタイルも思い出せない。

名前も何だったかな。

忘れた。

ダメだ、助けて~。


『思念を受信しました。

世界端末アーカーシャに接続します』


頭の中に、無機質な声が響いた。

どこかシステムのメッセージのようだ。


【ヘルプメニューを表示しますか?】


目の前に吹き出しのようなメッセージボックスが出現した。

ヘルプメニュー!それは助かる。

もちろん、『はい』だ。

でもなぁ。

寧ろ、チュートリアルが欲しい。


『世界端末に要請……承認……認証……構築…』


頭の中に再び無機質な声が響く。

やがて目の前のメッセージボックスにメッセージが浮かぶ。


【お待ちください】


そうして、出てきたのはメッセージだった。

ほうほう、待ってみよう。

いや、それよりも僕はどこに流されているんだろう。

なんだか、上昇気流に乗ってしまったような気がする。

それに、身体のポカポカが収まらない。

めちゃめちゃ気持ちいい。


『お待たせしました』


音声が響く。


【微精霊のチュートリアルを開始しますか?】


そして、新たなメッセージが表示された。

僕は、『はい』と念じる。

そうか、『微精霊』か。

埃とか妖怪とか…魔物とかではないんだな。

てか、妖怪なんかいないか。

全部魔物か。

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