夜更けのカフェごっこ
ちょび@なろうから出向中
取り留めのない呟きです。
何処か浮かれていた正月も終わり、今年も通常運転の日々が始まった。
一部の会社ではまだ新年のご祈祷だ新年会だと騒いでいるが、例年、同時期に訪れる受験生の大勝負に加え、今年は元旦早々の能登地方の大地震。個人的には今一つ、はしゃぐ気持ちにはなれそうになかった。
灰色に仄かな初春の色が混じった様な一日が終わり、今日も自分自身にお疲れ様コールをしつつ私は最近ハマったささやかなナイトルーティンに勤しんでいる。
そう!女子の憧れ、インスタでも話題の『自宅カフェ』だ。
•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜
遅い夕食も入浴も戸締りも先に済ませ(←ここ重要)、後片付けが楽な様に可愛い柄の紙コップと紙皿を用意。
味気無い
その日の気分に応じてセッティングも気軽に変えるのも楽しみの一つ。緑茶や焙じ茶の時は渋めのグリーンやブラウンの落ち着いた雰囲気に、ハーブティの時にはパステル調の優しい色合いに、と言う塩梅に。
床をコロコロで軽く掃除してから、座り心地の良いクッションと小さめの電気ブランケットを置いて準備完了。
カーテンを閉めテレビの電源や照明を切り、電池式のLEDキャンドルやランタンを幾つも灯す。此処まで使った雑貨は殆ど百均製なのもご愛嬌。安価で使い易いが、意外とお洒落なデザインも多いのでお勧めなのである。
ご近所さんの迷惑にならない様にワイヤレスイヤホンでBGMを耳に流せば、今宵も『自宅カフェ』の開店だ。
持て成すのも寛ぐのも私自身。ティーパックを蒸らしながら紙皿に盛り付けたクッキーを摘み、スマホで焚き火動画を流しつつ熱々の紅茶やハーブティを口に含む。
柔らかな灯りに照らし出された四畳半は日頃の生活感も薄まり、手元灯の光が読み掛けの本のページを明るく照らし出す。
•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜
深夜の静謐な空気が部屋の隅にわだかまり、時折、国道を走る車の音が遠くから微かに伝わって来る。
賑やかを通り越してやや煩い隣人も流石にこの時間は眠っている様で、イヤホンを外すとはっきり聴こえるのは壁掛け時計の針の音くらいのものだ。
何時しか私の居る部屋は、時間と言う大河の中を小舟の様に静かに揺蕩う。
聴こえない筈の波の音が部屋の壁に打ち寄せる様に届き、私と言うちっぽけな船頭兼客人を乗せて大いなる歴史のうねりの中を小舟は進む。何処とも知れない不確かな明日に向かって──。
•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜
良い心地でうとうとし始めたら本日の『カフェ』は店仕舞い。明日が休日ならば夜明けを待つのも悪くはないが、普段は夜中を過ぎたらボチボチと周りを片付ける。
茶菓子とティーセットを仕舞い、使った紙製品は小さく丸めて屑籠IN(本当に後始末が楽だ)。スマホや照明の電源を落として、予め湯たんぽを入れて置いた温かな寝床に潜り込む。
明日の面倒な案件やガチで面倒な輩の事など脳みそから締め出して、ひょっとしたら夢の中でカフェ『ごっこ』の続きが出来るかも知れないと、そこはかとなく期待しながら私の意識は穏やかな闇へと沈んで行くのである。
こうして、私のささやかな夜更かしは終わりを告げる。
•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜•*¨*•.¸¸☆*・゜
夜更けのカフェごっこ ちょび@なろうから出向中 @gyougetsu_inn_26
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます