第5話 森の中の隠れ家

アルコとコンテは、風の街を後にし、さらに奥深くへと旅を続けた。旅の途中、二人は一面に広がる密林に差し掛かった。太古から存在するかのようなこの森は、不思議な魅力に満ちており、アルコはその神秘的な美しさに引き込まれた。森の入口には、「忘れられた森」という名前が刻まれた古い看板が立っていた。


森の中は静寂に包まれており、アルコとコンテの足音だけが響く。彼らは、好奇心を胸に、森の奥へと歩を進めた。やがて、彼らは小さな川を見つけ、そのほとりに建つ小さな木造の家にたどり着いた。家は自然に溶け込むように造られており、まるで森の一部のようだった。


その家の前で、アルコとコンテは一人の女性と出会った。彼女はリリアと名乗り、この森でひっそりと暮らしているハーブ医だった。リリアは、森の植物から薬草を作り、近隣の村人たちを癒していた。彼女の知識は世代を超えて受け継がれたもので、森の植物に関する彼女の知識は底知れず深かった。


リリアは、アルコとコンテを温かく迎え入れ、彼らに森の中で育つ様々な薬草について教えてくれた。アルコはリリアの話に興味津々で、カメラでその一部始終を記録した。リリアが手際よく薬草を調合する様子、そしてその薬草から作られる薬の力を、彼は写真に収めた。


リリアは二人を自宅に招き、森の中で採れたハーブティーを振る舞ってくれた。そのティーは心を落ち着かせ、体を温める不思議な力を持っていた。リリアとの会話の中で、アルコは自然と共生する暮らしの大切さを学び、また、森が持つ癒しの力について深く感じることができた。


別れ際、リリアはアルコとコンテに、旅の安全を祈るハーブのお守りを贈った。そのお守りは、森の深い愛とリリアの優しさが込められていた。


森を後にする時、アルコは振り返り、リリアに感謝の言葉を述べた。リリアの隠れ家での経験は、彼にとって忘れられない宝物となった。森の奥深くに隠された知恵と、自然との調和の大切さを胸に刻みながら、アルコとコンテは次の冒険へと歩を進めた。

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