第4話 風の街の音楽家
アルコとコンテは、畑を後にし、足を進めるうちに、風が特別に感じられる街に差し掛かった。この街は「風の街」と呼ばれ、常に心地よい風が吹き抜けることで知られていた。街の中心には、風をテーマにした彫刻や装飾があちこちに見られ、風が生み出す音楽のような響きが、街全体を包んでいた。
彼らが街を散策していると、美しい旋律が耳に飛び込んできた。音楽は風に乗って、街の隅々まで届いているようだった。アルコとコンテは、その音楽の源を求めて歩き始めた。音は、街の広場にある小さなステージから発されていた。
ステージ上では、一人の音楽家が、奇妙な楽器を演奏していた。その楽器は風を捉え、音楽に変える仕組みになっており、演奏者の手によって風の強さや方向を調節することで、さまざまな音色を奏でることができた。アルコは、その場に魅了され、しばらく動けなくなった。
音楽が一段落すると、音楽家は観衆に微笑みかけた。彼の名はフェリオ。フェリオは、この街で生まれ育ち、風とともに音楽を奏でることに人生を捧げていると語った。アルコはフェリオに声をかけ、彼の楽器と音楽について尋ねた。
フェリオは喜んで説明し、その楽器は「風のハープ」と呼ばれるもので、風の街の伝統的な楽器だと教えてくれた。彼はまた、風の音楽はこの街の人々にとって、心の平和を保つための重要な要素だとも言った。
アルコは、フェリオの許可を得て、風のハープを撮影した。カメラのファインダー越しにフェリオを見ると、彼の顔には風に対する深い敬愛と、音楽への情熱が表れていた。その写真は、風の街の魂とも言える瞬間を捉えていた。
訪問を終える頃、フェリオはアルコとコンテに、風の街を代表する記念品として、小さな風のハープのレプリカを贈った。アルコは、このギフトとフェリオとの出会いを大切にし、旅の記憶として胸に刻んだ。
夕暮れ時、二人は風の街を後にした。アルコは、風の街で感じた平和と調和の感覚を、これから訪れる場所でも見つけられることを願いながら、次の目的地へと足を進めた。
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