SS(ショートショート)綾瀬の宝物
綾瀬莉子はアラームの音で目覚めた。
眠たそうに目をこすりながら起き上がり、ノロノロと部屋を出ていく。
そのまま洗面所へ向かい、顔を洗って強制的に目覚めさせる。
顔をタオルで拭き、リビングへ向かうとすぐさまテレビを付けた。
休日の午前ということもあり、彼女にとって興味を持てない番組ばかりなため、すぐにテレビを消してしまう。
台所へ足を運び、インスタントのコーヒーを淹れるために準備を始めた。
お湯を沸かし、インスタントの袋を開けてマグカップへ。
熱々のマグカップを手にソファへ腰を下ろした。
「……ふふ」
コーヒーを飲みながら、綾瀬はスマホの画面を見て微笑んだ。
画面に表示されていたのは、つい先日橘たちと遊んだついでに撮った写真。
橘や高橋、櫛引と綾瀬の四人が写っている写真だ。
高橋や櫛引は写真慣れしているので、しっかりとポーズを取ったりしている。
が、橘だけ挙動不審で半目になってしまっている。
それが綾瀬にとってツボだったらしく、こうして写真を見ながら笑い、そして温かな気持ちに包まれる。
彼女の一日はそうして始まるのだった。
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