第19話:家のほころび

 なんやかんやで イズナの家に着いた。着いたと同時にいずなは風呂の準備をして キバを連れて風呂に入ってしまった。


 ここで残念なお知らせがあります。


 キバと俺の間には 別に 感覚共有 みたいなものはないので、 風呂場の様子が 俺に伝わることはありません。 だから、特になにも描写もなく 2人が風呂に入ってるなーっていうだけの状態です。


 しかも、 風呂に入る前の状態から判断するに、別に一緒に2人で風呂に入ってるって訳じゃなく、いずなは服を着たまま キバの体を洗ってあげたり、 頭を洗ってあげたりしてあげるみたいな感じだった。


 だから、たとえ 感覚共有できたとしても、 なにか良いものが見えたわけではなさそうです。


 なんでこういう時って、男は無駄に立ったり、座ったりするのだろう。俺はリビングでテレビをつけて待っていたのだが、どうにも落ち着かない。


 風呂が終わったら、 二人して出てきた。俺は明後日の方向を見てスルーしてみた。


 今度は、キバを床に座らせて、ドライヤーで髪を乾かしてやってる。 これだけ見たら、微笑ましい姉妹のように見えなくもないが、 忘れちゃいけないのは片一方は妖怪だってことだ。


 当然こんなに大人しく髪を乾かされたりする訳もなく、 する訳もないはず……なんだが、なんだか 座った。 座ってるぞ!  よーく見れば、キバはジュースをもらって ストローでチューチュー 飲んでいる状態だった。


 獣って、食べてる時は大人しいよね?  食べたり飲んだりしてる時って、大人しいよね?


 しかも よく見たら キバは 座った状態で なんだか 地面を見ていた。


 そして、何かを捕まえたら口に運んでる。いずなは髪を乾かすのに夢中で、全然気づいてないようだ。


 よく目を凝らしてみると、キバは取るに足らない ネズミの妖怪みたいなのを捕まえて食べてやがる。 そう思って、改めてこの部屋の中を見渡すと、 ちょいちょい なんか 異形のものがいる。


 そういえば、 この間のお祓いの後、 結界 張ってないな 普通なら仕事が終わったら結果 やるんだけど、 今回は仕事じゃなかったし。しかも、払った後に部屋 掃除 させられたから、 すっかり忘れてた……。


 通常、 お祓いをした後っていうのは、そこに一度 妖怪が来るって事は妖怪が来やすい環境が整ってる だから、もう二度と来ないように結界を張って 妖怪の侵入を妨げるのが通例だ。


 まあ、言ってみりゃ ドアが開けっぱなしの状態だから、 そこら辺にいる いろんなヤツが ちょいちょい 入ってきてる感じかな。


 キバがその妖怪を食べてるのは 、別に いずなのことを気に入ってるからとかじゃなくて、目の前を食べ物が歩いてるから、おやつ感覚で つまみ食いしてるみたいなもんだろう。


 キバがドライヤー かけてもらってる間に、俺は 家の外に出て 土地の四隅に盛り塩をした。 そして、家の門の前に来たら両手を合わせて 祈祷をして家に結界を張った。


 さて、これからどうするか。少し俺のことを話して俺も元の世界に戻ることを考えていたのだけど……。今は、目の前の平和を眺めていることにしよう。


 いくつだか知らないけど、いずなの話が本当なら俺はアラフィフってことか? その年で今更自分探しの旅とか恥ずかしいことをする羽目になるのか。頭が痛い話だった。


ここまでお読みくださりありがとうございます!

ストックが切れ、ストックを作りたいのでしばらく週一回の更新にさせてください。ある程度ストックをためて、更新頻度を上げていきたいと思います。

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