第4話:反撃開始
体育館は今、すごい一体感とテンションの爆上がり状態になっていた。
圧倒的な勝利で俺たちが勝ったからだ。スラムダンクみたいにNBAみたいな技は一切ない。言ってみれば、バスケの基礎みたいなことしかしていないのだ。
ただ、チームの連携が良かった。この一試合で一緒にプレイした河村たちと打ち解けた。相手チームだったヤツらはあんまり運動が得意じゃないみたいだったけど、俺たちの動きに感心していて試合が終わったら惜しみない拍手をしてくれていた。
味方だけじゃなく、相手とも打ち解けたと思う。それだけじゃなくて、クラスの全体が好意的になったのを肌で感じている。
最初に河村たちに頼んだからだけど、パスは俺に集まってかなり点を取るのに貢献できた。たまたま他のヤツらもバスケ部とか経験者だったらしく、俺のミスもうまくフォローしてくれた。
それというのも、団結の理由が「彼女に良いところを見せたいから」という不純なところがとても良かった。みんなモテたいのだ。男なんてそんなもの。みんな気持ちが分かるからこそ、仲間が動くときには協力的なのだ。
さて、ここまではお膳立てできた。ここからが、俺の本当にやりたいことだ。
「見てくれた?」
俺はネット越しにいずなに話しかけた。
「え!? あ、はい……。バスケット上手なんですね」
「そう? ありがと」
「でも、目立ったらまた屑村さんが……」
屑村……いじめっ子はそんな名前だったか。
注目度を最高潮に上げた今、俺が話しかけただけで俺といずなは注目の的だ。みんなが注目していたら、あの三人も堂々といじめ行為はできないだろう。
目論見は当たり、あの三人はコートの端っこでこちらの様子をうかがっている。悔しそうな表情が遠くからでも分かる。
ここでダメ押しだ。俺が指をついっと動かすと体育館の天井辺りからバスケットボールが落ちてきた。
(ボンッ)「あいたっ!」
そのボールは座っていた屑村の天頂にまっすぐ落ちた。そして、直撃した後、屑村はバタリとその場に倒れた。
あれ? やりすぎたか?
(ざわざわざわ……)
突拍子もない事象が起き、誰も反応できずにいた。屑村さえも目を見開いたまま固まっている。目は開いてるけど、全く動かない。死んでないよね!?
さすがに俺も罪悪感に苛まれてきたので、ネットをくぐり屑村のもとに向かう。
「大丈夫か?」
手を引っ張って起こそうとするも足に力が入らないみたいで立ち上がれないようだ。
「しょうがないなぁ……よっと」
俺は屑村を抱え上げた。お姫様抱っこってやつかな。
「なっ! なななななっ」
急に屑村がバグったようだ。ちょっとボールか当たっただけなのに。
「こら、おとなしくしろ。保健室に連れてってやるから」
「……」
屑村はおとなしくなった。怒っているのか真っ赤になってうつむいている。ボールを落とした犯人が俺だと分かったら殺されたりしないだろうか……。
「先生、こいつを保健室に連れて行ってきます」
「え!? あ、は、はい。お願いします」
体育教師が我に返ったように返事をした。
一応、体育教師に許可も取ったし、これで堂々と保健室に行って大丈夫だろう。
更に体育館中の人たちの注目を集めていた。一抹の不安を抱えたまま。俺たちは保健室に向かうのだった。
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