第12話
門の先は青と緑の世界だった。
森にある木々が太陽の光を反射しているかのようにキラキラとしている。
さわさわと流れる風に身を任せ踊る草が森の手前に広がっている。
茶色が黄緑になり黄緑が深い緑になり青く広がる空になる。
そのグラデーションのような景色がとても美しい。
私はその美しさのあまり固まってしまった。
そんな私を無視してガレスが歩きだす。
「今日は薬草を取りにきた。安いが大事なものだ。」
少し遠い目をしたガレスが続けて言う。
「こういう依頼は皆嫌がる。低いランクには必ずある。だが皆面倒くさがってやらない。」
本来低ランクの仕事のはずだし、それこそガレスも面倒くさいはず。
それにガレスはもうそんな依頼を受けなくて良いはず、、、。
なのになんでなんだろう?そう思いながらガレスを見つめる。
「、、、今回はリアもいる。それに薬草が増えるこの時期には良いと思ったんだ。」
何も言ってないし、伝える手段なんて私にはない。
今だってただ見つめていただけなのに、なんでガレスはいつも分かるんだろう?
「契約のおかげだ。」
けいやく?
あ、従魔のこと?
「あの契約で大体リアが考えている事が分かるようになったんだ。」
へ〜!そんな事できるんだぁ!
魔法って便利だなぁ。
でもちょっと複雑、、かも、、、。
「、、、すまない。だが、無かったらリアとこうして話せないからな。」
そうだよね、、、。
まぁ、仕方ないよね。
「、、、ここだ。着いたぞ。」
そう言われていつの間にか下げていた顔を上げる。
さっき門から見えた踊って見えた草が今は足下で揺れていた。
「今日はヒール草を採る。最低でも10は採る。」
そう言うとガレスがしゃがむ。
私は肩から下りた。
「、、、離れるなよ。」
チラッと私を見るとそうガレスが私に向かい言ってきた。
まぁ、元々離れる気なんて無いんだけど。
さてと、、、。
そう思って私は草と睨めっこをするが、やっぱり全然分からなかった。
しばらく2人して無言で草と睨めっこしてると「ピロン」という音が鳴る。
目の前に画面のようなものが広がる。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スキル「鑑定」を獲得しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ほぅ!ほぅほぅ!
鑑定、とな!
これまたテンプレートなスキルが!
まぁ、大体効果は分かるしなぁ、、、。
これは確認しなくてもいいや。
とりあえず、私はまた草を見る。
するとさっきまで全部一緒に見えた草の上に「薬草」とか「雑草」すっごい稀に「毒草」とかが見えるようになった。
そして、私は薬草だけ集めた。
まだ若そうなのは取っといたけど。
そしてポンポンアイテムボックスに入れていった。
しばらく薬草を集めていると足音が聞こえ、そっちを見る。
「そろそろ戻るぞ。」
そう言われて空を見ると日が傾いていた。
15:42になったとこらしい。
私はまたガレスの肩に乗せてもらった。
それを確認して歩き出す。
数時間前に出てきた門を今度は入っていく。
門番の人に身分証としてギルドカードを見せると通してくれた。
そしてそのままギルドに直行して薬草をバックから出していくガレス。
私もそれに合わせてアイテムボックスから薬草を出す。
出し終わって一息ついて顔を上げるとギョッとしたような顔をしている受付嬢が私を見ていた。
ガレスの方を見るとガレスも驚いたような顔をしてバックから薬草を出そうとしている手のまま固まっていた。
どうしたのか分からず私は慌ててしまった。
それに気付いた受付嬢がハッとしたような顔をした後に咳払いを3回くらいする。
その音でガレスも動き出した。
だけど、受付嬢は誤魔化されなかったみたい。
「ガレスさん?その子の能力を把握していますか?」
ガレスの顔をレンズ越しにじっと見つめる受付嬢。
「まぁ、なんとなくな。」
それに淡々と返すガレス。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます