第5話

あ、そういえばそうだね。

私は今狐なんだから、言葉が分からなくても当たり前なんだよね。


でも、私はガレスの言ってることが理解できる。

ここがもし異世界なら、、、というかそうなんだろうなぁ。


見たことない果物。

ガレスが今着ている私服も中世ヨーロッパくらいに着ていた服に似ている。


それに冒険者ギルドに従魔という言葉。

どっちもラノベとかに出てくるような単語だった。


これはもう間違いないだろう。

私はどうやら死んで異世界転生したみたい。


そんなとこで使われてる言語。

前世では絶対に存在していなかっただろう。


なのに、理解できてしまっている。

これはあれかな?


転生したときにはあるでだろう言語理解というスキルが私にもあるのかな?


というか、こういう時あるあるのステータスとかないのかな?


「、、、ア。、、、リア。、、、リア。アベリア!」


わぁぁぁぁぁ!!

え、なになにどうしたの?


「どうしたんだ?いきなりボーとして?呼んでも反応なかった、、、もしかして具合でも悪いのか?」


あ、ごめん!違うの!

考え事してて、、、だから具合が悪いとかじゃないの!


そう言いたくても口から出てくるのは「キャンキャン」という狐の鳴き声。


私がガレスの言葉を理解できても、ガレスに伝えることができないとか、、、マジ悲し過ぎ、、、。


「、、、それだけ吠えられるんだ。どうやら違うみたいだな。じゃ、出かけるか。」


そう言ったガレスは私を抱っこしたまま立ち上がる。

少しグワッと浮遊感がした。


ジェットコースターが好きだった私からすればちょっと癖になる感覚だった。


そのまま部屋を出て右に行くと何部屋か通り過ぎると突き当たりに階段があった。

その階段を降りるとちょっと広い食堂がある。


その食堂を通り過ぎると2つドアの出入口を出る。

そして目の前に広がる建物と人の波。


道を行き交う人々の服はガレスが着ている服と似たり寄ったりの服だった。

女の人はスカートだけどね。


それにたまに見かける甲冑を着ている人も見かける。

そして、建物の多くは木で出来ていた。


少し歩いていくと広くて大きい道に出た。

所謂、大通りというやつだろう。


色んなお店が並んでいる。

串焼き、果物や野菜、食事処等々があって人が多く、少し騒がしい通りだ。


横を通り過ぎる人々が私を二度見して通り過ぎてってる。

そんなレアなものなのかな?私って。


それともそもそも獣がいることが珍しいのかな?

まぁ、どっちでもいいけど、あまりジロジロ見ないでほしいなぁ。


見られるの慣れてないんだからさぁ。


「気になるか?すまない、もうすぐつくからな。」


そう言って軽く体を撫でてくれる。

上を見上げるとガレスの顔が見える。


だけどガレスは真っ直ぐ前を向いており、目が合うことはない。

なのに、物凄く安心する。


それからも撫でられながら運ばれてると大きい建物が見えてきた。


「あの大きい建物が冒険者ギルドの建物だ。」


建物の前に来るとガレスがそう一言言ってその建物の中に入っていった。


中に入ると右に大きい掲示板があって、紙がいっぱい貼ってあった。

多分依頼書と言われるやつなんだろう。


そして、奥にはカウンター型の受付があって、5人が並んでいた。

そのうち2人は多分獣人と言われるやつだ。


なんか、、、感動する。

1人はうさぎで1人は多分、、、チーターとかそういうやつだと思う。


そして、左には食堂、、、というか呑み処みたいになっていた。

その左には階段があったから、2階もあるのだろう。


だが、今回はそっち側には用事がないのだろう。

特に気にするようなこともなくスルーして受付に向かっていく。


そして、5人のうち1人の眼鏡かけている女の人の前に立つ。


「あ、おはようございます、ガレスさん。依頼ですか?」


その人は慣れた様子でガレスにそう声をかける。


「あぁ、おはよう。すまない、今日は依頼じゃないんだ。」


そう言って私をズイっと前に出すガレス。

私を見る受付嬢。


「この子を従魔登録したい。」









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