第4話

柔らかくてすべすべの手触りがして、最高に気持ちいい。

何これ一生ここにいたいと思える。


「お、起きたか?」


ん〜?

誰だぁ?私は今ここに一生住むって決めたんだ!

邪魔するなぁ〜。


「起きないのか?飯、食わないのか?」


ご飯〜?

ご飯!食べる!

お腹空いた!!


そう思って目を開けるとそこは見慣れない部屋だった。

私が寝ている場所は、、、ベッドみたいだ。


「おはよう。よく眠れたみたいだな。」


そう声が聞こえた。

そっちに目を向けるとガレスが机の傍に立っていた。


その手には美味しそうなご飯が!

あ!机の上にもご飯がある!


てことはどっちか私のなんだね!?

やったやった!!


「そんな尻尾振ってると尻尾取れるぞ。そんなにお腹空いてたのか。」


うっ、、、なんかそう言われると食いしん坊みたいじゃん、、、。

ご飯に目がないみたいじゃん、、、。


でもでも仕方なくない!?

だって私何ヶ月まともにご飯食べてないと思ってんの!


ガレスにパン貰ったけど、少しだったし、、、全然足りないよ!


「ほら、こっち来い。置いといてやるから食え。」


そう言って皿に盛られた肉と果物が床に置かれた。


「何が好きか分からないが、狐だからな。草ではないと思って、肉と果物にしたが、、、どうだ?食えそうか?」


とりあえず、匂いを嗅いでみる。

うん、物凄く良い匂いがする。


肉は焼かれてるだけで何もかかってなさそうだ。

果物は前世だと見た事ないオレンジ色のリンゴみたいなやつとブルーベリーみたいなやつがある。


私前世でも肉ってあまり得意じゃないけど、狐だし好きになってるかもなぁ、、、。


と思って食べてみたけど、前世と感覚は同じだった。

3口くらいしか食べられなかった。


その代わりに果物をもりもり食べた。

オレンジ色のリンゴみたいなやつは普通にリンゴでブルーベリーみたいなやつは甘酸っぱかった。


ブルーベリーというより、ベリーに近いかも。

どちらも美味しかった。


「そうか。お前は肉はあまり好きじゃないんだな。だが、果物は好きみたいだな。一応と思って準備しておいて良かった。」


へ〜そっか。

私の為に用意しておいてくれたんだね。

嬉しいなぁ〜。


そう思って軽く感動していたら、気が付いたらガレスの足に頭をスリスリしていた。


「ん、なんだ。俺の飯は分けてやれんぞ。」


そう言いながら抱っこしてくれる。

会った時から思ってたけど、ガレスは表情が表に出ないし、顔には傷があって、きっと体にもあるのだろう。


そして、筋肉ダルマではないけど、細マッチョとも言えない程の筋肉もある。

そんな見た目のガレスはめっちゃ厳つくて怖く見える。


だけど、ほんとは不器用だけど優しくて繊細で温かい人って、、、これめっちゃギャップじゃない?

え、絶対ガレスモテるんじゃない?


うわぁ、、絶対モテそうだよね!

そう考えたら、なんだかチクッと胸が痛む感覚がした。


なんだろう?

なんか病気かな?


「待たせたな。」


色々と考え事をしていた間にガレスがご飯を食べ終えたみたいだ。


「これから冒険者ギルドに行く。リアを連れて歩けるように従魔登録しなければならない。」


従魔登録ってラノベとかで出てくる魔物とかを従わせているという印で、街とかでも連れて歩けるようになるあれだよね。


ていうか、、、リア?

リアって私のこと?


「ん?よく分からないか?どれが分からなかった?ギルドのことか?」


冒険者ギルドはそれこそラノベでよく出てくる施設だよね。

魔物とか人助けとか、所謂なんでも屋みたいな存在の人達を管理する組織だよね。


魔物の素材とかを買い取ったり、その素材である程度の武器とか防具とかも作ったりしてくれるとかいうのもあったよね。


それはまぁ、なんとなく分かるかな。


「ん、違うか。じゃあ、従魔登録のことか?」


それはさっき引っかかったけど、単語からなんとなく読み取ることもできるし、ラノベとかでも出てくるから分かるよ?


「違ったか、、、じゃあなんだ?、、、あ。リアっていう呼び名か?」


呼び名?

リアは私の呼び名なの?


「正解のようだな。リアってのは呼び名や愛称のようなものだ。嫌だったか?」


リア、、、アベリアだからリア、、、。

嬉しい!


私前世ではニックネームとか無かったから、なんか特別な気がする!


「気に入ったようだな。というか、さっきから俺の言葉を理解してるのか?」

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