第3話
この人、、、私を撫でたいのかな?
こんな大きな体をしていて、傷だらけのちょっと厳つい男性なのに可愛い人だな、、、。
「、、、撫でて良いか?」
その人は少し伺うような声音で私にそう言う。
私は「良いよ!」と示すようにまた寝転がる。
そうするとゆっくりと壊れ物を扱うようにそっと私を撫でた。
大きい手をしているのにその手の動きは繊細だった。
「ありがとう。」
フッと人間は微笑む。
わぁ!笑った!
パフパフと音がしてる。
なんだろ?
「尻尾が揺れてる?嬉しい、、のか?」
え!?尻尾!?
あ、そっか、、、そりゃそだ。
てか、私尻尾振っちゃってるんだぁ。
なんか恥ずう、、、。
そう思ったが、人間の手を振り払おうとは思わなかった。
しばらくその手に身を任せる。
しばらくするとそっと手を離すから、私は立ち上がる。
人間はキョロキョロと辺りを見渡す。
「お前、母親はいないのか?1人か?」
キョロキョロとしていた首を戻して私の目を見ながら、そう尋ねてきた。
その言葉につい悲しくなって、「くぅーん」という声が漏れた。
顔も気付けば下を向いていた。
そうしていたら、人間が頭にポンと手を置く。
「なら、俺と一緒に来る、か?」
頭に置いた手をそのままにしたままそう私に聞いてくる。
え!?良いの!?
うん!行きたい!この人いい人だし!
暖かくて、美味しいの持ってる!
嬉しさのあまり「キャンキャン」と声が出る。
そして、ついその人に飛びついてしまった。
が、その人は「おっと」と言ってフワッと優しく包むように抱っこしてくれた。
やっぱ優しい!
ていうかさっきから私の思考幼くなってない?
、、、まぁいっか!
そう思いながら人間の頬に頭をスリスリする。
「分かった分かった。じゃあ一緒に行こう。」
そう言って、抱っこをしたまま立った。
一気に高くなる視点。
うわぁ!たかーい!
楽しいーー!!
「く、くすぐったい、、、。」
あ!ごめんね!
尻尾振っちゃってたよね!
もしかして当たっちゃったかな!?
「俺はガレスだ。お前の名は無い、、よな?」
そっか、、、私名前もないのか、、、。
前世ではあったけど、、、何でか全然思い出せない。
「じゃあ、名前決めても良いか?ないと不便だろ。」
え!?
名前、付けてくれるの!?
嬉しい!!やった!!
「お前性別どっちだ?オスか?」
んな訳ないでしょ!
失礼な!
「ギャン!」
「あ、すまん。メスなんだな。そっか、女の子か。」
そう言って黙り込んでしまった。
どうやら真剣に名前を考えてくれているみたいだ。
「アベリアってのはどうだ?」
アベリア?
ん〜、、、英名って分かんないけど、、、可愛い、、のか?
「、、、白い綺麗で可愛い花の名前なんだ。お前に似てると思ったんだが。」
「どうだ?」という目で見てくる。
綺麗で可愛い花!
めっちゃ良い名前!
「キャン!キャンキャン!」
興奮した声が出る。
尻尾は今までにない程振っちゃってるんだろう。
「そうか!気に入ったか!良かった、、、。」
そう言って嬉しいそうにホッとしたような顔をする。
この人はほんとにほんとに優しくて暖かい人だ。
こんな人に拾ってもらえるなんて、なんて幸運なんだろう!
今まで散々だと思ったけど、この人に拾われるっていう幸運があるなら納得だ。
それからしばらくその人に、、、ガレスに抱えられなれて、移動する。
歩くときの振動が心地良くて、眠くなってくる。
「寝ても良いぞ?」
そう言って体を撫でてくれる。
でも、折角なら景色見たいんだけど、、、。
うぅ、、、。
だめだ。
気持ち良くて、、、寝ちゃ、、う、、、、、。
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