第2話
それから私は川を探してずっと歩いていた。
川があれば喉の渇きはなくなるし、魚がいればお腹も満たせる。
それに下流に行けば人が住んでるはず。
人いる=安全だとは言わないけど、食べ物はあるはずだ。
人の街に行くかはまだ迷ってるけど、飲水と食料が確保出来るだけ一石二鳥みたいなとこあるからね。
何日も何日も歩いた。
時々休んだり、夜には寝たけど、あとはずっと歩いてた。
雪降ってるせいで果物などはなく、たまに見かける小動物を狩ろうとしても今までそんなことはした事ない為、いつも上手くいっていない。
歩いてるせいで体力消耗をする。
もうお腹が空いた。
喉の渇きは雪で誤魔化せるけど、お腹はずっと空いてる。
足が震えてるのが分かる。
もう限界なんだ。
折角生き返ったのに。
また死ぬのかな?
嫌だな。
でも、、、もうほんとに限界、、か、も。
ん?
なんだろう、この匂い。
いい匂いがする!
そう思って駆け出す。
ちょっと行ったところに木があった。
その下に果物が置いてあった。
わぁぁぁぁ!!ラッキー!
こんなとこに果物が落ちてるなんて!
もしかして、動物が落としたのかな?
そう思って果物を食べようとすると「ガシャン」という音が聞こえた。
え?
え、なにこれ。
もしかして罠だったの!?
あれ!?うご、、かない!!
少し考えるれば分かることだったのに!
不自然だったもん!
空腹に負けて馬鹿なことを、、、。
自分でもそう思う。
とりあえず少し果物を食べる。
ほんとは全部食べちゃいたいほどなんだけど、これが罠だとすれば、仕掛けたのは勿論人だ。
でもこの雪の中いつ来るのか分からない。
その時の為に食べ物はとっとかないとね。
でも、、、もしその人間が罠の事を忘れてたりして来なかったら、、、私はこのまま、、、。
それから何日いや何週間経ったか。
果物はもう食べ終わり、降っていた雪はいつの間にか止んでいた。
だが、未だに白い景色は広がっていた。
雪を飲むことはまだ出来そうだ。
最初は取れないかとかじったり引っ掻いたりしてみたが、切るのは無理そうだった。
引っ張ったり、抜こうとしても一向に抜けそうにもなかった。
罠を取るのは無理そうだと判断した後は出来るだけ体力温存する為にも寝るかじっと横になっていた。
が、喉の渇きは誤魔化せても空腹は誤魔化せない。
もう限界かもしれない、、、。
もう何もする気もおきない。
私はここで死ぬのかな?
そういえば、この罠に引っ掛かったときにもそう思っていたな、、、。
ほんと、あの時は馬鹿だった。
もう少し考えれば良かった。
もう少し周りをちゃんと確認すれば良かった。
そんなたらればをしてももう遅いけど。
思わずにはいられなかった。
あぁ、、、お腹、、、空いた、、な、、、、、。
目を閉じようと思わなくても勝手に閉じる目。
それに対抗しようとも思わず、身を任せた。
ピチャッピチャッ。
ごくん。
あれ、、、なんだろ、これ、、、水?
美味しい、、、。
ふっと目を開けると人が目の前にいた。
そして私の口に水を垂らしていた。
だれ?
すごい、傷だらけの人だな、、、。
その人は私が目を覚ましたのに気付くとホッとした顔をした。
持っていたバックからパンを取り出すと小さくちぎると私の口に持ってきてくれる。
スンスンと鼻を鳴らしながら匂いを嗅ぐと良い匂いがした。
じっとパンを持っている人間を見る。
その人も私の顔をじっと見ていた。
そっとパンを食べる。
っ!!!!美味しい!!!!
柔らかくて甘い!
私がパンを飲み込むのを確認するとその人はまたパンをちぎって食べて。
それを何回か繰り返すと私は久しぶりにお腹いっぱいになった。
それからその人はじっと私の顔を見ると、そっと手をこちらに近付ける。
静かにそれを見ていると罠を取ってくれた。
おぉ!!自由だ!!
やっと自由になった!
ありがとう!って伝えたくて声を出すと「キャンキャン」という小動物、、、というか子犬のような声が出た。
うわ!私こんな声してたんだ、、、。
声出す事なかったし、出そうとも思わなかったから知らなかったよ、、、。
そう思いながら人間をじっと見ていると、その人は手を近付けようとして引っ込めてまた近付けてとそれを繰り返していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます