猫が飼えない３つの理由

第1話

　私は猫が好きである。

　大好きなのである。

　でも今は、猫が飼えない環境で日々を送っているのです。

　一つ目の理由。

　母が高齢で、もう猫のめんどうを見るのが難しいからだと言ってきたからである。

　言われてみれば納得。

　今まで飼ってきた猫の世話の大半は母がみてくれていた。

　ご飯の用意とか病院に連れていってくれたりとか。

　数年前にお亡くなりになった猫の世話なんて私がみることが増えていたのだから当然と言えば当然なのかもしれない。

　二つ目の理由。

　妹が、もうこれ以上、愛猫との別れに心が耐えられないと言ったからである。

　私に負けないくらいの猫好きな妹。

　愛猫との別れの度に多くの涙を流してきた。

　当然前回も。

　特に妹が拾ってきた猫だったのだからそのつらさも一層大きかったことだろう。

　拾ってきた当初は、病院に連れていくなり明日の命は保証できないと言われるような状態だったそうだ。

　それが、順調に回復し、太り過ぎだと言われてしまったことすらある。

　その猫の最後は妹が仕事を終えて帰って来るのを待っていたかのように。

　静かに息をしなくなった。

　当然、妹は大泣きした。

　三つ目の理由。

　私が貧乏だからである。

　一時期に比べ体調が良くなってきたとはいえ。

　まともに働くことが出来ない私の収入源は不定期なアルバイトくらいのもの。

　とても今の収入では猫を養うことなんてできはしない。

　かと言って正社員を目指して就活するほどの気力もない。

　あぁ、猫と一緒に寝ていた日々が懐かしい。

　抱っこしては、喉をゴロゴロ鳴らして嬉しそうにしてくれていた日々が懐かしい。

　でも全ては過去の話。

　猫、が足りない。

　圧倒的に猫が足りない。

　そんな私の携帯の待ち受けは今も変わらず猫である。

　猫の画像を見たり、動画を見たりして猫成分を補充しようとはしているものの……

　本物の猫と暮らした日々には遠く及ばず。

　今も私は、心の底から猫を欲している。

　あぁ、猫と一緒に暮らしている人が羨ましい。

　おしまい