第21章・天敵

鍾乳石が垂れる音がして、頭が破裂しそうな激しいめまいがした。

両親の言い争いは頻繁にあり、息子を無視し、自分たちの問題に集中していた。彼は傍観者であり、あらゆるものを研究することで現実から逃避していた。

生まれつき体が弱く、本の中のヒーローのようになりたかった。純粋な知性で強者を倒す姿に魅了され、顔に笑みを浮かべては、現実に戻ると顔から消えていた。

…どうして彼らのようになれないの…

クラスで一番頭が良かったにもかかわらず、控えめで、自分をうまく表現できず、それを利用する子もいた。

「それをちょっと貸して」ある子は、彼からノートを奪って、写し取った。

「い…返…し」

「え!?何か言ったか?」と不躾に尋ねた。答えないだろうと思った。

「私も貸して」もう一人が加わった。

何カ月もかけて、本人の許可なく物を奪っていった。

7歳の時、勇気を出して、ノートを取られそうになるや否や、ノートを強くつかんで、連れて行かれるのを阻止した。

「え。何やってんの?」

「離せ!自分たちでやろ!」

「何―?」

休み時間になると、この2人の子どもたちは、彼を学校の近くの森に連れて行った。

殴られて、どうしようもなく顔をかばったので、それに乗じて腹部を殴られた。

「止めてください!離してください!」と涙ながらに嘆いてた。

突然、彼らは立ち止まり、黙り込んでしまった。

…何が起こった?…

立ち上がって周りを見渡すと、彼らは数メートル先にいた。見上げると、木の上で本を読んでいる子供のところに、いくつかの影が戻ってくるのが見えた。

赤い角ですぐにわかったのか、怒ったような顔で固まっていた。

「うせんだよ。集中させろ」声が傲慢だった。

聞いたら、彼らは本能的に彼の前にひざまずいた。

…なぜ、魔王がここに?怖くて動けない…

社会的地位の高い彼らの代表となる人物であるだけに、言葉に詰また。

「それは本当か?」と、尋ねた。

考え事に没頭していて、会話の内容には目もくれず、しかもオーラが出ていたから、口も開けられなかった。

加害者たちはたじろぎながら、学校の方へ逃げていった。

少年はまだ地面に倒れていて、長い黒髪が顔の半分を覆っていた。

「邪魔されたくなければ、俺様のそばにいて、また雰囲気を壊されたくない」しぶしぶながら言った。少年は静かにうなずいた。

すぐに彼の避難所になり、その木の下で彼の隣にいることが癒しになりました。彼のそばで多くの時間を過ごし、読書を教え、些細な問題を共有することになるだった。

16歳の時、魔王は彼が泣いているのを見つけた。

「どうした?何で泣くの?弱い人だけ泣くよ」木に登り、平然と身を乗り出した。

「か・彼女が他の人と浮気したんだ…どうすればいいのかわからない…」

「別れたら?」

「そんな簡単じゃないよ…おれはい、どうしたらいいのか…」

「気に入らないなら、それを捨てて、他のことをやってみろ。何をしたらいいかわからないなら、最初に思いついたことをやればいい。シンプルだ」

「まともなことを言うのを初めて聞いた...本から引用したのかしら...」口元を手で隠し、そのチープさに涙を流しながら笑った。二人が出会った日のことを思い出させた。

22歳の時、2人は口論になった。

「でも、一人で行くのは危険すぎ」

「君がそういうべきじゃないだろう。前回あんなことをしたくせに…逆に言えば、御忍びで調査しやすくなる。それに、今まで何もなかっただろう?」

「好きにしろ」

…休日があればいいな…ここから動かないのは祈ろう…

「必要な情報で戻ってくる。自分一人で何かやろうなんて思わないでね!」部屋を出て、途中でため息をつきながら、休む間もなく旅立ちました。

安定して浮かんでいる魔法のような光は、街灯のように通りを照らしていた。そこは森の中の街で、道は草で、建物はスレート岩でできていた。

夜は魔王の最良の味方だった。警戒しながら、フードをかぶって、隅から隅まで、光を避けて進んだ。

異変に気づいた。通りには誰もおらず、死んだ町のように静かだった。

…罠なの?バカな… 変だな。

疑心暗鬼になり、片方の手を顎に添えて考えた。

影に入るのを避けた。彼らは感知する魔法が有ったから。

…どこかに集まっているかな?

数時間後、彼は空き家になっている数軒の家に入った。

街を歩き回った末に、洞窟を見つけた。背景にはかすかな光と、誰かの話し声があった。

大はエルフ語を知っているので、会話は理解できるだろうって。

忍び足で様子をうかがい、一旦、音が出てくる隅に隠れてから、立ち止まった。はっきり聞こえるが、何か変だ。

…この言語が聞いた事がない!どんな人種なんだ?

恐る恐る顔を出してみると、誰もいない。音は、浮遊する光の中から聞こえてきた。

防御に立ち、振り向いた。入り口は魔法のような紫色の壁で塞がれていて、全く外に出られない。外には呪文を持ったエルフが数人いた。

…やっぱり罠か!?おれはいを捕まえるために街を空っぽにしたのか!?交渉するつもりか?

その後ろから、銀髪のエルフが偉そうに近づいてきた。もう一人は金髪で顔に斜めに傷跡があり、胴体の半分が腐っている異形の者だった。

エルフは青みがかった半袖のオーバーコートを着て、右腕全体を覆う黒い手袋をはめ、もう一人は金属の長ズボンをはいて素っ裸になっていた。

「こいつでいい、使えるだろう」と、エルフが言うと、もう一人が頷いた。

苦労して腐った腕を突き破り、その中の魔壁を歪ませ、成型した。

…なんでゼこんなロットがエルフと手を組んでるんだ? なんで意識があるようになの!?

大は急いで彼に近づき、その腕を切り落とそうとしたが、突然彼の体に異変が起こり、目、鼻、口がすべて血まみれになってしまった。

「深くに休め…」とゼロットはやる気のない目で言った。

雫が響く。意識を取り戻した彼は、自分が石筍に縛られていることに気がついた。

…何処だここ?何が起こった?なぜ生きている?夢なの?

意識はまだ活動しているが、意志で体を動かすことはできなかった。

警報といくつかの叫び声が場内に響き渡った。彼も唸り声を上げ、いとも簡単に、解き放たれた。

同時に、周囲から悲痛な思いが聞こえてきた:

…殺す、殺す。

…お願い、誰か、僕を殺して、お願いー。

…絶対に許さない!クソエルフよ!誰一人生かしておかないぞ!?

…助けて、家に帰りたい…

…何でだよ!?仲間だったのに、なぜ俺を怪物に変えたの?

…どうなってしまった?

…自分を抑えられない!ちくしょう!誰かいる!?

…私は殺したくなかった…本当だ、したくなかったよ…

今持っている尾の一本が振り出され、影の中にいる人の胸に突き刺さり、引きずり出されて上の鍾乳石に投げ込まれた。挟まれたまま動かなくなり、大は血まみれになった。

…どうなったの?今は何を?おれはいは殺したの?ここから逃げないと。

思考は混乱し、自分の意志で動くことはできなかった。

四つんばいになった獣のように、獲物を見つけるまで体を左右に動かした。

まるで自分の影のように、自分を浸した血を手で球体に集め、それを別の怪物の顔に投げつけると、顔の一部が完璧に消え、残りの部分は生気を失って倒れてしまった。

休む間もなく、洞窟の中にある湖に移動した。

…気をつけろ、お前の後ろに!逃げろ!

周りの考えを聞き続けた。

その尾の1本が水中に入り感電し、水没した怪物を焦がした。

同時にもう片方の尻尾で鍾乳石を心臓に向けて高速で丸め、その勢いで体を回転させ、投げた人に2倍の力で返し、その場で殺して壁に固定させた。

その後、アラームは鳴り止まなくなった。

水辺に足を踏み入れ、映る自分の姿を見つめた。

少女らしい顔立ちに色白の肌、草色の髪、黒い瞳、緋色の水晶の猫耳、豊かな唇、そして腰の後ろには、先端に黄金の宝石が輝く蔓状の尾が2本あった。

動物のように、水の匂いを嗅ぎ、必死で舐めた。

…気持ち悪い!おい、娘!舐めるな!汚いとは見ていないのか!?やめろ!

戦略家である彼は、彼女の行動を見て緊張していた。

周りには誰もおらず、洞窟も広くはないようで、どこを見ても血だらけで、他の獣に殺された死骸があった。

…どうしておれはいはここに?何だこの場所?

湖から離れると、異様なガスが増え、意識が遠のいていくだった。

5人のエルフの間で、同じ洞窟の中にある紫色の魔法の立方体の中に宙に浮いている状態で捕らえられていた。

…何で動けないの?

自分の意志で動こうとしたり、獣に対して何かをしようとするたびに、獣は咆哮した。

前回の首謀者たちが近づいてきて、会話を交わした、まずエルフから:

「さすがに魔王の魂は他のゴミより破壊力があったね」

「お互いに異常に違うのが面白かった」

臣下の目を覚まさせるために拍手をして、声を張り上げた:

「次の段階を実行せよ!」

自分の部下は、作戦の速さに驚いていた。

…愚かなエルフよ、思い通りになると思っているのか?魔王を全滅させたら、次に出す命令は、貴様の絶滅だ!

ゼロットの思いだった、それからエルフと大の思いだった:

… ぷはっはっはっ。もうお前は必要ない!ここから出たら死ねぞ!この気持ち悪いゼロット!なんで素っ裸だったのか理解できない!もううんざりだった!

…全滅させる!?… なら、本当だったの!?

金色の髪のエルフが興奮気味に入ってきて、何かを求めるかのように両手を広げて上司に立ったままお辞儀をした。

「魔王が我々に宣戦布告し、南東に全軍を送り込んできました」

エルフは彼女を叩き、手で笑いをこらえた。

…俺のショーの前哨戦になる。あの赤毛の人が言ったことが効いているなんて、いまだに信じられない。

「前線に送れ、その後、当初の計画を続行する」

部隊の前に現れた途端、怪物は一気に木の幹を折って投げつけ、何人もの部隊を押しつぶした。

…何やってる!?やめろ、おれはいの部下だ!

獣は咆哮し、ある者はどうしていいかわからず、麻痺してしまった。

「今何を…!?攻撃!戦略家『大様』を殺した怪物だ!」

…おれはい?殺された?ここにいるよ!

何人かは影に飛び込んだ。数秒後、死体が魚の死体のように浮かび上がってきた。手足がないものもいた。

…やめろって言ってるんだ!もうこれ以上殺すな!お願いだから!

彼は地表に戻ると、2人が後ろに位置し、大を泡で囲んだ。また、大の仇を取る思いで違う格好をした者が大鎌を作り、叩こうとしたが、天井からモンスターの尻尾が出てきて感電してしまった。

…逃げろ!強いすぎ!何で何も出来ないの!?

何人かは木に登り、矢で弓を作り、大を撃った。リモコンで操作でき、すぐに持ち主のもとに戻ってきた。

四つんばいになりながら、素早くかわし、尾を幹に打ち込んで倒し、幹の葉が流れ弾のように飛び出して、その場でほぼ全員を負傷させ、死に至らしめた。

…逃げろ…

希望を失い、思考を停止して、悪夢だと思い込もうとした。

後方の者はその上に影の天井を作り、それを押しつぶすように降下したが、それは地面を潜り、後方の空中に現れ、その身体でプロペラを回し、その尾で二人を真っ二つにした。

胴体が落ちてくる地面に触れ、素早く滑って落ちてくる血に手で触れると、爪のように恐怖で遠くに隠れている人たちに向けて放った。

「別の方向に逃げろ!誰か魔王のところに行け!状況を報告するんだ!」

逃げた4人のうち3人は死ぬことになった。

数時間後、獣は魔王の住む場所までテレポートしてきた。

…この場所は…やめて…

王座に向かって進み、光のランタンで出会った衛兵を切り裂いた。

…このドアの後ろ…開くな…通るな!!

獣は咆哮し、その尾で扉を切り裂いた。

…その赤い影は何だ?

「やっと会えたな…俺様を探していた?自己紹介をさせて。俺様は大魔王だ!貴様の名前を言え、貴様の頭が乗せる台座に必要になるでしょう」

…魔王、おれはいだ!逃げてくれ!こいつを勝てね!殺される!

獣は咆哮した。

「なるほど、貴様のような怪物にはこれ以所に期待してなかったよ」

…おれはい?怪物?…

一回の突進で、彼女は彼に迫ってきて、尻尾を彼の頭めがけて、信じられないようなスピードで伸ばした。

魔王は、身動き一つせず、同じ速度で赤く染まった影を動かし、彼女を空中で止め、半身も動かなくした。

「もう終わりか?頭が高いぞ、化け物」と、この上ない傲慢さで叫んだ。

大は後ずさりしたが、その勢いに慣れているのか、膝をつき終えていなかった。

魔王は頭を引いてかわした。左から、残った尾は影から出て、少し鼻を切り、右の角を打って真っ二つにした。

「死ね!」怒って悪態をつきました。腕を化け物に向け、赤みがかった槍のような影を2本飛ばした。1本は彼の左腕を貫き、血を流し、正体を吼えった。腕を胸と同じ高さまで上げると、赤っぽい影がいくつもクリーチャーを追い詰めた。

…痛い!魔王、おれはいを殺せ!

魔王の次の行動をかわし為に、半身を固定されたから、地面に尾を翻して物陰に這入った。

「隠れるつもりか!?」

まるで地面そのものであるかのように、赤く染まった影が、魔王を浮かび上がらせた。天井に手を上げると、無数の影が集まり、血の色の泡に包まれた。

影から尻尾で泡を叩くが、傷をつけることができず、撃退された。

…何だこれ?血?

「すべてを壊す!見よ、俺様の最高の攻撃を、クリーチャーよ!」

…この能力で、世界を滅ぼすかもしれない。 とにかく、もうどうでもいい… どんな代償を払ってでも、お前の罪を償わせます。

…世界を滅ぼす!?おれはいだけ殺せば済むよ!

怪物は尾から光の強度を上げ、数分間、人の目をくらませるほどの圧倒的なパワーを持っていた。

「無駄だ、この部屋から影を消しても、俺様の影は消えない。俺様の生命力から掠め取って生成された。何もできん!」

…逃げろ!無駄だ!いつでも血液を通過するのはできるよ!止まれ、殺すな!何でもするから、彼だけ殺すな!

光によって影が追い出されるのを利用して、彼に飛びつき、尻尾で泡を突き刺し、彼の胸に命中させた。魔王は口から血を噴き出し、苦しそうに振り返っていた。

「はは…化け物だと思ったが…控えめな表現だな…くそっ!」最後の息で怒りの言葉を発した。手を振って、自分の影が無反応であることを見てショックを受けた。

…¡嘘だ!何で!悪夢だと言ってくれ! なぜやったんだ? 誓ってやろ!貴様を殺すぞ!

大は激怒し、良心の呵責に耐えかねて限界に達していた。

怪物は普通の影のように彼のバブルに入り込み、咆哮した。仕上げに、バブルをコントールして、彼をズタズタに引き裂いてた。

夜、森の中で、最後の一人を殺し終えた。細切れになった死体や、底に洞窟のある湖があった。

…殺してやる、殺してやる…

それしか頭になかった。ようやく意を決して動き出した彼は、湖まで這って行き、血に染まった反射鏡に自分を映してみた。

…怪物、殺してやる、殺してやる、殺してやる、殺してやる。

天敵を目の当たりにし、尾が映り込み、怒りに任せて獣の首を切り落とした。

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