短歌「一杯」「星」


「一杯」――――

橋の上さらばと一杯きみがため硝子の底のゆがみたる月


はしのうえ さらばといっぱい きみがため がらすのそこの ゆがみたるつき



「一杯」――――

紅白も雪解けくれば路を染め泥濘いっぱい梅の短命


こうはくも ゆきどけくれば みちをそめ でいねいいっぱい うめのたんめい



「星」――――

君去りし想いこそ知れ明け星よ嘆きで光れ橄欖の先


きみさりし おもいこそしれ あけぼしよ なげきでひかれ かんらんのさき



「星」――――

戦音で空を揺すりし静寂後に茜の裾に昇る宵星


せんおんで そらをゆすりし しじまごに あかねのすそに のぼるよいぼし


----------------------------

(月がゆがんで見える理由もいろいろ。なぜ橋の上で呑んでいるのかは不明)

(紅梅も白梅も、散った後は泥の中)

(後朝。想いは重い。やや恨みを含んでるっぽい)

(時事ネタ。戦のむなしさを俯瞰し鎮魂する歌)




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