第3話 アヤのいる毎日

 それから春が来て、夏が来て、秋が終わってまた冬が来て。

 ボクはすっかりアヤの家の子になっていた。


「ミイ、ネコジャラシであそぼう」


 よしきた。アヤ、しっかり振るんだぞ。


「きょうでミイがうちにきていちねんだね。パパとママからプレゼントだって。キャットタワーをかってくれたよ~」


 わ、大きい。

 これなら思う存分遊べるや。アヤ、見てなよー。


「ミイ、こわいゆめみちゃったよー。いっしょにねよう」


 もう、アミはしょうがないなー。

 大丈夫、ボクが守ってあげるから。


 ボクとアヤはいつも一緒。

 アヤのことは大好きだ。


 こんな日がずっと続くんだって、そう思っていたけど。

 ある日アヤが、背中に何かを背負ってはしゃいでいる。


「ミイ、みてみてー、ランドセルだよー。わたし小学生になるのー。はるから学校にいくんだよー」


 アヤは楽しそうに言ってるけど、学校だって?

 前にボクに石をぶつけてきたような、イジワルな男の子がいないか心配だよ。

 ボクがついていって、しっかり守ってあげないと。


 だけどアヤが学校に行く日、ついて行こうとしたらアヤのママに止められた。


「ダメよミイ。ミイは学校について行っちゃいけないの」


 なんだって?

 何言ってるんだ、ボクも行く……ああ。アヤってば、バイバイって手を振って行っちゃった。


 ひとり残されたボクは、ふてくされてリビングのソファーの上で丸くなる。


 アヤ、大丈夫かなあ?

 いじめられてなければいいんだけど。


 だけどその心配はいらなかったみたいで、アヤは毎日楽しそうに笑ってる。

 だけど学校に通うようになってからは、ボクと一緒にいる時間は少なくなっていった。


 どうしてボクは学校に行っちゃいけないの?

 ボクが小さいからかなあ?

 大きくなったら、ボクもアヤと一緒に学校に行けるのかなあ?


 だからボクはよく食べて、よく動いて、早く大きくなるよう頑張った。

 大きくなったら、学校に行ける。アヤと一緒にいられるって思ったから。


「ミイ~、きょうは学校で、こんなことがあったんだよ~」


 アヤは毎日ボクに、学校であった事を話してくれる。

 待っててねアヤ。ボクもすぐに大きくなって、一緒に学校(行くから。


 だけどいくら大きくなっても、アヤはボクを連れて行ってはくれない。

 それどころか学校がお休みの日も、友達に会いに行くって出かけていって、一緒にいる時間はますます減っていった。


 アヤは、ボクのことを好きじゃなくなったのかな?

 学校であった事は話してくれるけど、どうしてボクを連れて行ってくれないの?

 ボクよりも学校の方が大事?

 人間の友達の方が大事なの?


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