あの冬へ

届いてますか

届いてますか

冬風に吹かれて未来を憂いていた彼の日へ

来たる危機に眠れず泣いていた君へ


あれからだいぶ経ったけどなんとかやってます

死にたかったけど死にきれないのはいつもの事

相変わらず傍に誰もいないけど

それもいつもの話 もう笑うしかないぜ


「前向け」って前向けないし

「死ぬって言うな」って死にたくなるし

そういう夜もある、否定してくれるな

そう思う君を否定してくれるな


前も見えない夜の傷心高速道路を駆け抜けて

いつものSAで見た朝焼けにまた胸が痛んで

「なんで生きてんだ」って

その理由を問いていたからの今日があって


結局生きてる理由なんて見つからないし

死ぬ理由すら見失って全く笑えるよな

でも多分それが「生きる」って事なんだと

飛び乗った列車の流れてく景色を見て思ったよ


もう思い詰めてたって意味が無いんだと

散々諦めてきて、また諦めて手にしたチャンス

「もう諦めないぜ」って信じられないのも笑えて

そうやって生きています あの頃と変わらない僕


君は今何を思ってるかな

どうせ悩んで夜な夜な携帯で金繰り調べてんだろ

追い詰められた未来を生き抜く為に

ってそれで息詰まってたら世話ないぜ


どうせ悩んでたって朝は来る

どうせ泣いたってその日は来る

「人生なんとかなるって」

案外何とかなるもんだから笑っちまうぜ


この言葉すら今の君は信じないだろうけど

いつか分かる時が来る、この夜が明けた頃に

だから今は必死に悩んどけ

その苦悩がいつか自分を救うから


そろそろ夜が明けるから僕は行くぜ

「置いてかれた」って置いていきゃしないよ

どうせ君が走るレールは所詮君だけだ

好き勝手生きろよ、僕もそうしてきたから


間違っても道は違えてくれるなよ

君の怒りは怒りのまま抱えておくんだ

いつか君が心から笑えるぐらい幸せになって

その怒りを清算すれば万感の拍手の逆転劇になる


今の僕から言えるのはそれぐらいだ

精々悩んで進んでくれ

そして今の君が手に出来る幸せな未来を掴むのだ

今の僕よりもずっと幸せになってくれ


届いてますか

届いてますか

いつか来たる未来の僕へ

どうかご武運を祈ってます

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