第11話「わたし、探検隊。」

ルシェ「今日は引き続き、探検にゆくぞーっ!」

未来「楽しいわよね、探検。今日は何が見つかるのかしら?」

ルシェ「現地でのお楽しみですっ。よし、アダムもついてこいっ。」


未来を抱えてルシェが飛んでゆく。待って、待って。


二人を追いかけつつ地上の様子が違う事に気づく。

これは…いつの間にか島ごと移動していたのかな?

きっとルシェの仕込みで目的地近くまで近づけてある。

半分くらい沈んで傾いたビルの屋上あたりに、二人が降り立った。


ルシェ「…新入り隊員に注意!」


わたしの事だろうな。何?


ルシェ「ここには…モンスターがでます!勝手に先に行かないように!」


モンスター…??そんなのもいるんだ…。

わたし戦闘型らしいけど、中身は家電だしなぁ、気をつけます。


ルシェ「そしてお宝を見つけたらー、勝手に手をつけないで

    ちゃんとわたしに報告する事!

    風化しかけたようなものも、場合によっては修復できるからねっ!」


はーい。


未来「じゃ、行きましょうか。モンスターが出てもルシェが何とかするからね。

   気楽にいきましょ、アダム。」


そうさせていただきます、おそらくは安全に仕込みされてるんだろうし…。


入ってみて解った。このビル、元はデパートだ。

上はレストラン街だったんだろう、そんな雰囲気がある。

このあたりにお宝はないんだろうなー。調理機材は残ってるかもだけど。

そういう物でも、持って帰れば料理を作るリオは喜ぶかしら?

もっといい道具を持っているよな。


内部は未来には当然暗いはずなのだけれど、

進むにつれて、ぽつぽつ明かりがひとりでにつく。

ルシェが生きてる設備を確認して、使えるものには一時給電しているのだろう。

ルシェを先頭に、未来さんを挟んでわたし、で進んでゆく。

モンスターがいる、とは言ってはいたが…生き物の気配はない。

何がいるんだろう?ルシェ、画像送ってくんないのかな?おーい。


ルシェ「…少し昔、人の生き残りもこんな風に、

    過去の技術の発掘をして生きてた時代もありました…。」

未来「機士の時代ね?」

ルシェ「うん、それでモンスターもまだ多い時代で。

    戦える機士を持つ、機族と平民の間に格差があったりで…。

    技術の発掘がされても機族のモノになったりで、

    人間は文明、文化を取り戻すまでにはいたらなかったのですよ。」    


そうだったんだ。


未来「それでその頃同じく、

   残ってたロボット達が自分達を改造し続けてたんだよね?」

ルシェ「ちゃんと覚えてますね。そう、そうして出来たのが天使のあたしたち。

    そう考えると中身が旧世代のアダムは…

    体こそ天使だけれど、原始人みたいなものだね…。」

未来「原始人(笑)」


わたし原始人っ!!ショック!!

せめてご先祖様にしてくれませんか…。

そうか、天使はわたしたちの進化?の果てだったんだ。


ルシェ「そして、あたしたち天使は残った人類に提案しました。

    無事なネットワークを使い、地上の問題のない、

    新たな世界へ移住すべきだと。

    過去にそのネットワークが問題になったのだけれど、…それは置いといて。

    あらゆる修正を施して、人類にとっての楽園となりましたのでと。」

未来「その時から18才を目安に承諾をして。

   次々とアストラルプレーンに旅立っていったのよね。」

ルシェ「そうしてもうじき、未来で最後だよね。」

未来「わたし別にいつでもいいんだけどな。」

ルシェ「だめです、18才まではリアルでの体験を、経験をつんでください。

    そういうものです。」

未来「はいはい。あと半年だっけ?」

ルシェ「うん、そのくらい。」


実質の人類滅亡、そんな近くだったんだ…。でもなんか軽いノリで…。

話ながら進んでいると、何やら楽しそうな音が流れてきた。

これは…。オモチャ売り場じゃないだろか。


ルシェ「よーし、お宝を発掘しよー!」

未来「どうぶつの村を作るゲームの続きが世界のどこかに残ってるはずなのよね。

   それ見かけたらアダム教えてね?」


どうぶつ村の…あれまだ続いてたんだ…。それよりダウンロードじゃないやつって

今どんな形してるの?ゲームカートリッジ。

とりあえず小型化したりしてても、パッケージは人の目をひくようなものかな?

さがしてみよう…! …あ、これかな?


未来「どきどきどうぶつ村は、一つ前ね。その次があるはずなのよ…!」


どき村じゃないんだ…。

そうしてしばらく、オモチャ売り場の発掘をした後、

ここに目当ては無いと判断して。


ルシェ「この2階層下あたりに、当時のリサイクルショップ的なのがあるようだよ。

    そこもさがしてみる?」

未来「リサイクルショップなら、あるのは古いやつなんじゃないかしら?」


あ、でも新しいのも売ってるお店もわたしの昔にはあったよ。

人気のソフトだと新品が出回ってなくても、なぜか中古ではあったりもしたし。


未来「よし、行ってみましょうか!!」


そうしてさらに奥へとわたしたちは進む事になったのでした。

…なんかルシェにうまく誘導されてるような気がする。

モンスターもまだ見てないしね…。どこまで計画的なんだか。

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