第4話「わたしは随分骨董品。」
雲の上まで行くような、そう高い所でもなく。
ふつうにビルの60階とか高いビルくらいかな。
その辺りにそこそこの土地が浮いていた。
イブ「今夜は何かなぁ。ウリ聞いてる?」
ウリ「おまかせだっためぃ?じゃあ… …あ、カレーだってま。」
イブ「そう。丁度食べたかった所ね。アダム、アダム。」
ウリは誰かと通信していたかな…?
アダム?ああ、アダムはわたしの事だよね。なに?
イブ「あんたちょっと汚れてるから先にお風呂入ってらっしゃいな。ウリ。」
ウリ「はーいまぁ。…それ、お前。ついてきなみぃ。」
そういえば確かに汚れてるし、あちこちに傷もある。
どこからこの体とってきたんだろう…。
そうしてわたしはウリについて浴場へと向かう。
湯気が見える、露天のようだ。
ウリ「服はその辺脱ぎ捨てとくがいいみょ。後で分解再構成するみぃ。」
なんか変な事言った…。
そしてなんの躊躇いもなく脱ぎだしたウリを見て。
…ところでわたしの体は今男性なんですが?
ウリ「中身女むょ。構う事あるもぉ?」
そうですね。と、わたしもご一緒させてもらった。
湯をかけて、露天風呂に入るとやっぱり元ロボットとしては変な感じ。
たまにシャワーで洗浄もしましたけども…。
だいたいは拭くくらいでも良かったですし…。
これ、新陳代謝までしませんよね?
ウリ「しないみょ。
あんたの時代のESCellからずーっと先の構造分子結合だけどね。」
そうなんだ。
あ、初代わたしはそれよりもっと前のフレームから金属部品で作られてたやつです。
ウリ「ええっ。まるっきり機械じゃん!…も。随分と骨董品拾ったもんだま…。」
そうそう、気になってたんですけど
その時代からすると今何年くらい経ってるんですか…?
ウリ「…んー、ざっと千年ちょっとかまぅ…?」
そ、そんなに…。これは後に歴史の勉強するにしても大変そうだ…。
ウリ「でも人類にはほぼ空白期間があるからめぇ。
大きな話は、機士の時代だけ知っておけばなんとかなるー…めょ?」
騎士?…ん?機械の機、で機士なの?
ウリ「送ったイメージ見えてるね?そうそう。
機士の機体はここの海にでもまだ落ちてたかまぁー…?」
と、ウリはイメージをわたしに送ってきた。
わあ、こんなアニメみたいな巨大ロボまで居たんだ…。
じゃあこれで戦争に?
ウリ「んー、まあ…そんなとこめぇ。
それで人類滅びかけて、我々で進化した結果が天使だも。」
もう勝手に進化してたんだ…。へえー…。
戦争というと詳細はちょっと違うんだけどねー、と、
ウリは髪やら体を洗い終わると、
カラスの行水で湯から上がって… …服を撫でると分解再構成して、
さっともそもそ、ふつうの着替えをした。何となく面白い。
ウリ「お前のもやっといてやるまぇ。
この技術については解禁しないけど、自動修復は入れといたまゃ。
傷治ってるむょ?」
…ほんとだ。
過去の技術のEScellもナノマシンによって自己修復する分子的部品だったけれど、
人間の治癒みたいに何日かがかりで、これほど早くはなかった。
再構成の様子も見た感じずっと先の技術であるだろうし、
もうほとんど魔法みたいだ。昔なんか言ってたなぁ。
色も形も変わった服に着替えて、待ってたウリについていった。イブと夕食らしい。
…わたしもカレー食べられるのかな?
…どうも食べられそうなんだけど。
…そのあと、どうなるんだろう。
元低スペックロボット的に、何かと事象に興味深い。
とりあえず人は滅びかけてたんだ。
家電売り場から、随分遠くまできちゃったもんだなぁ…。
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