第11話

「ここは、近未来ですか?」

健斗の抱いた素直な感情だった。

「違います。現実です。」

目の前には、巨大なカプセルに入った1人の男が、頭に特殊な装置を装着されながら眠っていた。いや、眠っているようだった。

「彼は、白昼夢を見ているのよ。」

「白昼夢?」

「白昼夢、とは目を覚ました状態で空想や想像を夢のような映像として見ること。」

「へぇ…。白昼夢…。」

「この装置はその白昼夢をつくっているの。」

「白昼夢をつくる?」

意味がわからなかった。白昼夢は作れるのか。

「最先端のAIテクノロジーを駆使して、被験者…その呼び方はやめましょう、依頼主に必要な白昼夢をつくっているの。」

健斗の想像を遥かに超えた話に、この展開自体が夢なのではないか、もしくは手の込んだドッキリなのではないかと疑ったが、貴婦人からふざけている様子は微塵も感じられなかった。

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