第4話「花のカーテン」

 地球を飛び立った連合艦隊はドイツ艦、アメリカ艦、ロシア艦、日本艦、中国艦、フランス艦、オランダ艦の七艦になってしまった。

 他の艦隊は地球から打ち上げの際に二艦が失敗し、残りは宇宙空間のスペースデブリや隕石等と接触したのだろう。連絡がつかなくなり、航行不能になったものと思われる。

 他の艦もここまで来る間に随分とダメージを受けているようだ。既にまともな連絡は取れず、分かるのは艦橋から目視で確認できる艦のみだ。

 日本艦を任された艦長。ひびきはもうすぐ到着するであろうプロジェクト地点をモニターで確認していた。


 地球連合プロジェクト

『花のカーテン』


 止まらない温暖化は遂に取り返しのつかない所まで来ていた。そこで世界は手を取り一つのプロジェクトを立ち上げた。

 それは太陽と地球の宇宙空間に物理的な遮蔽物を設置し、カーテンのように太陽光を和らげるというものだった。

 更に設置する遮蔽物は、太陽光の熱や各種線量を判断し羽を開いて大きさを変える姿が蕾から花弁を開く花のように見える事から『花のカーテン』と呼ばれた。


 そんな重大なプロジェクトチームの一艦の日本艦に搭載されているのは遮蔽装置の『桜』だ。

 広がる姿は日本国花の桜をモチーフにしたもので、他艦隊も各々の国花がモチーフにされている。


 響の艦隊は目的の地点に辿り着くと宇宙空間に『桜』を切り離した。艦橋から見える他国の戦艦も次々に『国花』を切り離していった。

 ここらから先、地球から飛び立った艦隊が地球に戻ることは今の技術では出来なかった。片道の設置する為だけのプロジェクトを響達は無事に成し遂げたのだった。

 響を含めプロジェクトを終えたチームは、各々の国花がおりなす花のカーテンを見つめ、あとはこのプロジェクトが上手くいき、地球の気温や線量が安定するのを祈るだけであった。


 ◆


 と言うように、今空に浮かんでいる初代七つの花のカーテンによって地球の温暖化は抑制され、その後皆さんも知っているように技術の進歩によって設置するための航路も往復することが出来るようになり、随分と国花が咲き乱れるようになりました。

 そう言って説明を受けた観光客達は、空に広がる無数の国花がおりなす花のカーテンを見つめるのであった。



 了

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七日で書き上げた話の詰め合わせ ろくろわ @sakiyomiroku

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