第6話 猫と猫の毛。

 前話に書きましたすりガラスで爪をとぎました実家の愛猫、チェリー。


 そんなチェリーとすりガラス。

 最初は、確かすりガラスに肉球ぺたり、でがらりと戸を開けて、から始まったのでした。

 チェリーの肉球ぺたり、からのすりガラスをよいしょ、そして、戸をがらり。


 一連の動作がとてもかわいらしかった。もともとですが、さらに、です。

 和み意外のなにものでもありませんでした。


 自室(のようなもの)を出ての、小さな冒険。楽しかったことでしょう。


 しかしながら、そこは山の中の家。

 天井裏や掘りごたつなど、チェリーには危険と思われる場所もありました。


 危険防止に、とつっかい棒をされるようになりました。


 それから少ししましてから、すりガラスは爪とぎへと役目を変え始めました。

 そうです、肉球ぺたり、をされる場所から、ザリザリ音を奏でるところに。


 そして、いつしか、すりガラスはチェリー自身の姿を映すようになりました。


 前述のとおり、すりガラスの向こうのチェリーは、まるで絵のような姿。


 すりガラスの戸を開けたら、そこには当然、実際のチェリーがおりました。


 そしてそれは、長毛種にはあるあるの、長い毛が抜けまくり、飛びまくりのチンチラシルバーなのです。


 当時はまだ、コロコ⚪も今ほどは手軽なものではなくて、主にガムテープと掃除機で対応しておりました。

 油断すると、ガムテープの巻かれたところにまで毛が付着するのですよね。


 ガムテープは、減ります。

 巻かれているからかんと数えるガムテープの数えかたで言いますと、巻の四分の一とか、半分くらいはチェリーの毛のために使用してしまう勢いです。


 換毛期という毛の生え替わりの時期はもちろん、普段もかなりの量で、ブラシで梳いても梳いてもすぐに……。となっていました。


 当時のブラシは金属製でなんだか痛そうな形状でした。

 チェリーは気持ちよさそうに、嫌がらずにブラシをさせてくれたのでブラッシング自体はこちらも楽しくやらせてもらっていました。

 いい思い出です。


 ふと思いつきまして検索しましたら、今の長毛種専用ブラシは人間用にも似たものも開発されているのですね。

 これならは、『なんだか痛そうな形だな』と思わずにブラッシングに集中できそうと感心しました。


 当たり前ですが、こういった製品も色々開発され、機能も向上しているのでしょう。


 多くの飼い主さんが毛の多さにこそうーん、となりつつも、愛する猫さん、多頭飼いならば猫さんたち、が気持ちよさそうにしているのを見て癒やされ、嬉しくなる……そんな様子を想像させて頂きました。


 今のブラシなら、いったい、どれほどの毛がチェリーの体からは取れるのでしょうか。


 もしかしたら、本体(本猫)の分身や半分くらい? かも知れませんね。


 


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