第2話 猫と昆虫。

 第2話は猫と昆虫。です。


 昆虫。すわ、G? と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、大丈夫です。


 関東某県、杉の木に囲まれた(現在は伐採済)山の中の家。涼しいのでGはおりません。


 初めて見たのは中学校。あとは新幹線の中。

 それくらいです。


 では。

 前話でお話しましたように、チェリーは家猫です。

 めったに昆虫と遭遇することもなく、たまにカメムシをおもちゃにしていたかな、くらいです。

 どこからか侵入してくるカメムシをちゃい、ちゃい、として遊んで、飽きたらおしまい。

 つぶさないで! と見かけた者は思っておりましたが。


 それくらいで、食べたりはいたしませんでした。


 昆虫ではありませんが、若豆がねこじゃらし(エノコログサ)をつんできて目の前で振ってもあまり遊んではくれませんでした。

 そばに置いておけば、少しだけ遊んではいたように記憶しております。ちゃい、ちゃいと。


 そんなチェリーが、明らかに意識して捕ったものがあります。


 それは、オニヤンマ。


 台所の小窓から侵入したのでしょうか。


 かなり大きいトンボ、オニヤンマ。

 スィー、と室内を飛んでいます。


 チェリーはオニヤンマのことを見ているのか、いないのか、という雰囲気でした。


 山の中とはいえ、オニヤンマは珍しい。


 早く外に出て、自由に飛んでほしい。

 家族でオニヤンマを見守っていました。


 変わらずに、真っ直ぐ飛ぶオニヤンマ。

 窓ガラスにぶつからずに、うまく方向転換してほしいと願う、若豆達。


 そこに。

 なんと。


 ひらり、と跳ぶ、チェリー。


 しっかりと、がっちりと、オニヤンマを捕まえています。


 チェリー、なぜ跳んだ?


 どうでもいい、みたいな雰囲気だったのに。


 ……食べるの? むしるの?


 こちらが取り上げようにも、オニヤンマの羽は柔らかく、傷を付けてしまうと飛べなくなります。


 チェリーが、自分から離してくれるのを待つしかありません。


 すると。


 捕まえたことで満足したのか、チェリーは押さえていた手を外しました。


 とりあえず、オニヤンマを。


 父が、羽以外のところを持ち、外に出します。


 飛んでいるのか、風にのれたのかは分かりませんが、一応、見えなくなりました。


 部屋に戻ると、チェリーはオニヤンマなど存在していなかったかのように、普通に座っていました。


「猫だから、捕まえてみたかったのかな」


 猫だから。


 チェリーと一緒にいた母が、そう言いました。


 それが、正解なのかも知れません。


 食べない、遊ばない。


 それでも、なぜか、捕まえてしまう。


 猫だから。


 意外な大物に挑戦して、成功。


 数少ない、チェリーの狩りの記憶です。



 よろしければ、皆様の猫さんのこんな獲物を狩りました、をコメント欄でお伝え頂ければと思います。

 昆虫でも、昆虫でなくても。お待ちしております。

 

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