23 白状
「あ……」
蓮と夏川が帰ろうとしたタイミングで隣の部屋から華恋が出てきて偶然にも鉢合わせしてしまった。
「あ、あれ華恋ちゃんじゃん~!もしかしてまこっちゃんの隣に住んでるの?」
と夏川が疑問をぶつける。
「え、えっと……」
一方の華恋はどうしたらいいかわからず固まっている。
(助け舟を出すべきか……)
「一ノ瀬さんは俺の隣の部屋に住んでいる。だがそれ以下でもそれ以上でもないから深い詮索はやめてくれ。一ノ瀬さんが困っている」
と誠は弁明する。が蓮は
「ふーん。で実際の所はどーなの?一ノ瀬さん?」
と疑っている。
(頼むから上手く流してくれよ……)
「え、えっと……そ、そうですね。誠くんとは特に深い関わりはありませんよ」
と言った華恋だったが一つだけ聞き逃せない言葉があり、蓮と夏川は見逃さなかった。
「「誠くん!?」」
「あ……」
「はあ……三人とも家に上がってくれ……」
もう隠すことは不可能だと判断した誠は家に上がらせて素直に話すことにした。
「ご、ごめんなさい……」
と華恋は申し訳なさそうにしている。
「しょうがないことだしあそこで上手く誤魔化していてもいずれボロはでるからな。遅いか早いかだけだ。気にするな」
「んでお二人さんはどういったご関係で?」
と蓮が茶化すように聞いてくる。
誠は今までの出来事を大まかに説明した。
「ほほーう。なるほどなるほど。興味深いですなあ……蓮さんや」
「そうでございますなあ……夏希さんや」
「茶化すのはやめてくれ。説明したようにただの友人だ」
「まあ今のところはそういうことで納得しておく。だからカラオケの時も隣だったのか~!納得納得」
「でもさ友達同士なのはわかったけど、異性間で名前呼びしてるの?お互いに」
「まあな……」
「ふーん。まあこの事は秘密にしておいてあげる。それより華恋ちゃんとは仲良くしたいと思っていたんだよねぇ~!」
と夏川は華恋に対してグイグイと攻める。
「えっと……」
どうしたらいいのかわからない華恋はされるがままになっていたので誠は助け舟を出す。
「夏川さん。華恋が困っているから」
と伝えると
「ごっめ〜ん!つい可愛すぎて夢中になっていた!女神様って呼んでいい?!」
「……それはちょっと恥ずかしいです」
「えー!なら華恋ちゃん呼びのままでいいや!」
と華恋と夏川は二人で話し始めたので、その隙をついて蓮が話しかけてくる。
「なんで今まで黙っていたんだ?」
「……言う必要性を感じなかったし言ったら言ったで茶化くるのは目に見えていたから」
「ははっ!ちがいねぇなあ。でも黙っていたことは高くつくぜ?」
「…………」
「今後ゆっくり話していこうな!」
そうこうしているうちにだいぶ時間が経ってしまった。
「もう二人は帰ってくれ」
「え~!もう少し居たい~!」
「テスト期間だから勉強をしろ」
「うっ!……しょうがないなあ」
と二人を玄関まで連れていく。
「じゃあね~まこっちゃんと華恋ちゃん!」
「ああ」
「はい。さようなら」
「じゃあ二人とも」
「ああ」
「はい」
と二人を見送った。
華恋は体をこちらに向け、頭を下げる。
「本当にすみません。私の不注意でした」
「頭をあげてくれ。さっきも言ったけど気にするな」
「でも……」
「気にするな。俺も友人に隠し事は辛かったしな。タイミングもちょうど良かった」
「そうですか……ならもう気にしません」
「ああ。そうしてくれ」
そうしてひとまずは落ち着きを見したのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いいねやフォロー、応援コメントお待ちしています!☺️誤字、脱字などの報告やアドバイスはすごく助かっています!それと星をつけてくれるとありがたいです!
今後とも応援よろしくお願いします😊
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます