22 勉強会

スポーツ大会が終わればすぐに中間考査がやってくる。


「誠~勉強教えてくれぇ」


いつにもなく元気がない蓮。その理由は明確である。


「まこっちゃん!私にも教えてよお~」


こちらも元気がない様子。


「カップル揃って勉強会でもしとけ」


「えーまこっちゃん辛辣ゥ」


「誠ひどいぞぉ!」


二人が飼い主に捨てられたかの様な眼差しで誠を見つめる。


「そもそも日頃から勉強していれば焦る必要もないはずだが?」


「「うっ!」」


「人に頼ることも大事だか、まずは自分で勉強をすることが当たり前だと思うが?」


「「うっ……」」


バカップル二人に誠の言葉がクリティカルヒットした。


「「そ、そこをどうか……ご慈悲を……」」


息を揃えて言う二人。


「はあ……しょうがないな……再来週からテストが始まる。明日と明後日は幸い土日だからそこで勉強するしかない」


「……といいますと?」


「明日か明後日俺の家に来い二人ともだ」


「「誠様!ありがとうございます!」」


「でも俺ら誠の家知らないんだが……」


「住所送るから自分たちで来い」


「ハイ」


こうして土日に勉強会をすることになった誠たち。



土曜日


ピンポーン


「誠~来たぞ~」


ガチャ


「おはよう二人とも……」


「「おはよう!」」


「今何時かわかる?」


「「朝の七時!!」」


「はあ……集合時間は決めるべきだったな……」


「誠今日は髪結んでるんだな!」


「家ではいつもこうだ……はあ……」


初めての誠の家に入る二人は浮かれて朝早くから誠の家に突撃したのであった。


部屋に入った二人は

「一人暮らしなのに広〜い!」


「男一人で住んでるのに綺麗なんだな……」


などの感想を呟く。


「まあな。親に感謝だな」


と会話を終わらせ誠は朝食を食べる。


朝食を食べた誠は二人の勉強を教える。


「誠先生!ここ!わかりません!」


「ここは因数分解を使うんだ。公式覚えているか?」


「……イイエ」


「まずはそこからだ……」


蓮はそこそこ勉強できていたが、夏川に至っては欠点の可能性が高いほどの学力だった。



気がつけば時間は12時

(昼飯の時間だな)


「もう昼だからご飯にするけど宅配でいいか?」


「誠の手作りがいいなあ!」


「ああ。黒焦げでいいなら作るぞ」


「やっぱり遠慮しておきます……」


「んでなにがいい?」


「「ヒザ!」」


と息ぴったりなバカップルがピザを希望したのでピザを頼んだ。



昼休憩を挟んだ三人はまた勉強を再開し、気がつけば17時だった。


(案外真面目にするんだな。それに二人とも飲み込みが早い)


蓮と夏川は勉強をしていないだけでしっかり勉強すればいい点数を取れる頭は持っていた。


「もう夕方だ。キリのいいところで切り上げるぞ」


「「は〜い」」


そうして二人を玄関まで見送り、解散するところで悲劇は起きた。



隣の部屋からガチャッという音がしたのだ。


「……え?一ノ瀬さん?」


隣の部屋から突如現れた華恋に蓮と夏川は硬直した。



一方の華恋は


「あ……」


とこちらも硬直し、それを見た誠は頭を抱えるのであった。






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