18 明日は憂鬱

華恋が過去を打ち明けてくれたその日。自宅に戻った二人は真由美の帰りを待っていた。


「あの……誠さん」


「どうした?」


「私、この高校……いえこのマンションに住んでよかったと心の底から思っています」


「そうか?それはよかった」


「私、勉強するのも料理をするのも全部自分のためじゃなくて叔母さんたちに認めてもらうためにしてきました」


華恋は続ける。


「当時は何をしても認めてくれなくて辛い日々でしたが、あの時があるからこそ誠さんに料理を振舞って美味しいって言われているので今は感謝しています」


初めはだらしない人だと思いましたけど。

とボソッと呟く。


「最後の一言はいらないんじゃないか?」


「聞こえてましたか。まあ聞こえるように言ったんですけどね」


(こっちの方が良いな……なんか心開いてくれていた気がするしな)


以前までだったらお互い言わなかった冗談を言い合った二人。




すると玄関のドアの音がした。

「ただいま~少し遅くなっちゃったわね。今から作るから二人とも待ってて」


「私も手伝います」


「いいのいいの。私がやりたいんだから」


そうですか。と少ししょんぼりする華恋




リビングでゆっくりしているうちに真由美の料理が完成した。


「美味しそうですね」

と華恋が言う。


「そう?頑張った甲斐があるかしら」


「ま、冷めないうちに食べましょう?」


「はい」


「「「いただきます」」」




ご飯を食べ終えた三人はリビングでお話をしていた。


「誠と華恋ちゃん少し仲良くなったかしら?パッと見カップルみたいだわ~」


その言葉を聞いた華恋は頬を紅く染めた。

一方誠は

「ば、ばか!ちがうわ!」


と強めに否定した。


その日は真由美にからかわれたりして誠はすごく疲れたのであった。





あっという間にゴールデンウィークも最終日となり、真由美は実家に戻り、誠と華恋の久しぶりの二人きりの夕食。


「久しぶりに華恋の料理食べた気がするな。おいしいよ」


「ありがとうございます。そうですね。久しぶりですね。二人での夕食」


「そうだな」


「真由美さんといるとすぐに時間が経ってしまいましたね」


「騒がしくてしんどい日々だったけどな」


「そうですか?私は楽しかったですよ」

と華恋はニコッと笑う。


「華恋が楽しかったならよかったってことにしておく」


「そうですか?ところで明日からは学校ですね」


「……そうだな」


「どうしました?」


「スポ大があるから嫌なんだ」


「そうなんですか?私スポーツは好きなので楽しみです。そういえば誠くんはサッカーでしたよね?」


「ああ」


「私見に行きますから!」

とやや興奮した状態で華恋は言ってくる。


「い、いや別に来なくていいよ」


「明日はたくさん応援しますね!」


華恋は聞く耳をもたず、誠はさらに憂鬱になるのであった。








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