第2話 by龍崎ノア
小さな女の子に案内され席に着くと、目の前をてふてふが飛んで行った。その様子を目で追っていくと、奥の部屋へと入っていくのが見えた。ふすまの間からは、男性の遺影らしきものが見える。おそらくこの子のお父さんだろう。女の子に注文を聞かれると、龍馬は団子と茶を頼んだ。注文した品ができるのを待つ間、龍馬は女の子に話しかけた。
「おうちの手伝いをしていて偉いね」
「うん。だって、お母さん一人じゃ大変だから」
「良い子だね。お名前は?」
「久留島詩乃だよ」
その名前を聞いて、龍馬は二年前に起きた事件のことを思い出した。その事件では、小さな茶屋を営む男性が、自宅で首を吊って死んでいるのが発見されたのだ。警察は、当初自殺と判断したが、ある名探偵の一言により再捜査が始まった。その探偵は、これは殺人事件だと言っていた。確かに、現場には不可解な点が多く、とても自殺と思えるものではなかった。自殺に使用した紐がぶら下がっていた場所は、床からかなり高さがあり、踏み台なしでは届かない。しかし、現場には踏み台らしきものは一つもなかった。また、首にはひっかき傷があり、抵抗したときものと思われる。肝心の名探偵は、事件を解決する前に病死していまい、未解決事件となったのだ。
「お待たせいたしました」
突然の女の声に驚き顔を上げると、机の上には団子と茶が用意されていた。
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