僕と君の学校祭-3
生徒会長の宣言で始まった学校祭。
僕たち203が使っているのは5階中4階の教室だ。
なので人が回ってくるのにはまだ時間がかかる。窓の外を見てみると正面玄関は一般のお客さんで長蛇の列ができていた。
保護者はもちろん、いろいろな高校、中学校からの生徒や地域の方々、OB OGの人など老若男女沢山の人で玄関は溢れかえっていた。
次第に階段の方から話し声が聞こえてきたりし、人が上がってくることがわかる。
「そろそろ行きますか。」
「たくさん人呼んでこいよ。」
サンドウィッチマンとなった陽キャグループのうちの一人が僕たちにとっての戦場へ向かった。
どんどん他のクラスも広告を開始し、廊下が混んでくる。
「メイドカフェ203へようこそ。何名様ですか。 お席へご案内します。」
一人目のお客さんが来た。
当たり前と言ったら当たり前だが、メイド服を着ている女子の親だった。
まあはじめはどこもこんな感じだ。
自分の子供を目当てにやってくる親が大半を占めてくる。
「ご注文はなにになさいますか?」
「じゃあシフォンケーキとチーズケーキを一つずつとアイスコーヒーを2つお願いします。」
「かしこまりました。 少々お待ちください。」
ついに調理担当の出番が来た。
「シフォン1 チーズ1 アイスコーヒー2ね。」
「了解。」
…と言ってもそこまで大した仕事ではない。
冷蔵庫から朝のうちに解凍しておいて冷やしておいたシフォンケーキとチーズケーキの切り分けられたものを取り出し、粉砂糖と生クリームで飾り付けをする。
コーヒーは業務用の大きいペットボトルのものを氷を入れたプラスチックカップに注ぎ、ストローを付けて終了だ。
やっぱり生徒会の衛生管理の規則のせいでなんか手抜きのものに見えてしまうかもしれない。でも業務用でなかなか食べられないようなやつを選んできたのでまあいいだろう。
「お待たせいたしました。シフォンケーキとチーズケーキ、アイスコーヒーでございます。どうぞごゆっくりお過ごしなさいませ。」
そんなことをセリフ通りに言う中その子の両親は写真をパシャパシャ撮っている。
その子も笑うのを必死に堪えている。というかかなり迷惑がっている。
「あ〜あやっと行ってくれた。 あんなに写真を撮られると恥ずかしいんだけど。」
「まあそんなことを言わずに。 あっ、メイドカフェ203へようこそ。何名様ですか?」
愛菜がなだめている?うちにたくさん人が入ってきた。
この教室の許容範囲は全部で多くても20人くらいまでだ。
しかし、人が回ってきたので際限なく入ってくる。
「順番に席へご案内しますので少々お待ちください!」
廊下の方に緊急用の丸椅子を出して列を作る。
「
愛菜から何故か怒られる。 いや当然か。
「了解〜」
「シフォンケーキ5、チーズケーキ4 アイスコーヒー6にソーダフロート3ね」
「追加でドーナッツ3!」
「オレンジジュースも!」
3人もいるから大丈夫だろうと高をくくっていたらもうこんなに手一杯になって飽和してしまった。
電子レンジはずっと動き続け、2人で一斉に盛り付けをしていく。
もう一人はだいぶ不器用というか料理が得意でなかったので、ジュースとコーヒーの分量を図って入れている。(なんで調理担当に立候補したんだ!)
「はい持っていって!」
「お待たせいたしました。ソーダフロートとシフォンケーキでございます。どうぞごゆっくりお過ごしなさいませ。」
なんとか接客が回っている中。
「お会計は4点で870円です。」
「お会計は3点で500円です。」…
会計の子が本当の飽和状態となっていて会計が並んでしまっていた。
こっちの提供する速さに磨きがかかり、どんどん提供して、席へ案内して…と繰り返していくとこうなる。
10時頃になってやっと慣れてきて余裕が出てきたが、やっぱり学校祭の食品提供業は加減が難しい。
20分に1回のペースで人が押し寄せるラッシュが来る。
本当に人の流れってバラバラなのになんか集まるときには集まるんだよな〜
そんな訳のわかんないことを考えてくるとミスが増えてくる。
「あれ?チーズケーキなんだけど。」
「あっごめん。 作り直すよ。」
そんな感じに注文と提供するものの取り違えが、作り間違えが発生してくる。
「あれ?出してないのあとなんだっけ?」
「これとこれは出してでしょ。」
「あっ!コーヒー忘れてた!」
どんどんハイテンションになって声が大きくなっているように感じる。
といっても学校内に許容範囲以上とも思える人がいるので大声を出さないと聞こえないくらいだ。特に直ぐ側にある冷凍庫、冷凍庫の駆動音はうるさい。
学校祭の熱は際限なく上がっていく。
11時頃になってやっと人が少なくなってきた。
というのもお昼に近くなってきたので、今度はカレーとか焼き鳥とか、そういう系のものに人が行くようになったからだ。
ちらほらと生徒会が販売しているお弁当のようなものを持っている人がやってくる。
「交代まで…休憩まであと1時間、頑張ろう!」
そうして1時間後。
僕たちはカフェの営業をやりきった。
売上はこの午前中のみで8000円弱。
約80人くらいのお客さんがやってきた。
まあまあいい感じの売上だろう。
「あとはよろしくね。」
へとへとになりながら僕たちは戦場をあとにした。
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