僕と君の学校祭-2
そうして時は流れるように過ぎていった。
クラス発表のメイドカフェも滞りなく順調に準備が進み、もう学校祭前日となった。
クラスでは冷蔵庫と冷凍庫、電子レンジなどが運び込まれ、また装飾も進んでいた。
何やら机にはひらひらした白いレースが付いたテーブルクロスがつけられ、小さな花が飾られた。
また黒板も『203メイドカフェへようこそ!』と大きく書かれ、メイドの黒板アートが施されていた。
看板も作られ、またサンドウィッチマン(大きな看板2枚を紐でつなぎ、人がそれを着て呼び込みできるようにしたもの)も作った。
また調理スペーズとなるところはパーテーション(区画を区切る
装飾はそこまで気にしていなかったが、調理スペースの方は特に気を使った。
なんかそこだけはしっかりしたかった。調理担当だったし。
メイドカフェのメニューも完成している。
・アイスコーヒー
・ジュース各種
・ソーダフロート各種
・レンジでチンしたらできる業務用のドーナッツ
・同じくレンジでチンしたらできる業務用のケーキ
・ソーダフロートに使うポーションアイスにフルグラとかをつけて盛り合わせたパフェ
どれもその場で盛り付けて提供できるように…といったこれもまた生徒会の衛生管理の基準に合うように作られた。
まあ高校生らしくていいんじゃないだろうか。
3年生になると調理教室を借りることができるようになり、より本格的な料理を提供することができるようになる。
今年は301と305が調理教室を獲得し、カレーとラーメンを作るらしい。
そうしてクラスの方は完成しつつあった。
図書局の方では大きなポスターが出来上がってきていた。
全部で5枚の発表がある。
僕は新聞のコラムに出てくる小説についてを調べた。
タイトルは『身近に潜むたくさんの名作たち。』
ポスターは絵が苦手なのでやや殺風景だが、しっかりと綺麗にまとまったと思う。
愛菜は『こんな恋がしたい! みんなに読んでほしい青春小説』
とタイトルは研究でなく本の紹介っぽいが内容はどんな感じの恋愛小説が多いのかをしっかりと調べていた。
樋口さんは例の『魅惑の絵本たち』
何やらいろいろな絵本のキャラクターが描かれている華やかなポスターとなっている。
井上さんは『ワクワク・ドキドキ、ファンタジーの世界』
こちらも華やかで目を引かれる。
一方で夏目くんは『現代文学と当時の社会』
何やら固い文章になっていて論文ぽいがまあ…内容は綺麗にまとまっていた。
そんなこんやで図書館での準備も終わった。学校祭当日は図書館を開放して休憩スペーズ兼図書局員の発表スペースとするらしい。
そのほうが沢山の人に見てもらえると思うのでまあありがたい。
帰り際、
「
「ごめん、色々と準備が忙しくて連絡できなかった。」
「明日なんだけどさ、もちろん一緒に学祭まわろうね。 やっとカレカノらしい事ができる行事になったね!」
そうだ。忘れていた。僕には学祭で一緒に回れる人がしっかりといるのだ。
去年はもちろん、今までほぼ一人の状態で食べ物のところだけを回ってあとはシフトを入れるという学校祭だった。
「いつ一緒に回る?」
そう聞くと君はニヤけながら言った。
「黎と私のシフトは全部同じにしておいたよ。だからシフトがないときは全部一緒に回れるよ。 別に私も他に誘われてないし。」
本当に抜かりなく計算され尽くしたシフト表となっていた。いい意味で恐ろしい。
「あっあと栞ちゃんと林太郎くんは1日目に来るって。2人と学校祭の日にち被ってなくてよかったね。北高は来週、東高は来月だって。」
「ちょうどいい感じにずれていて良かったね。」
「でも西高とか光野高は南と同じらしいよ。」
「よく知っているね。」
「私、情報網は広いから。」
何やらSNSで情報を仕入れているらしい。
僕はパソコンには強いはずだけどそういうSNSとか言ったもの系は全く持って無理なので情報を仕入れることができない。
「よーし、明日は楽しむぞ! じゃあ明日ね。 バイバイ。」
「バイバイ。」
そう言ってワクワクをしっかりと家に持ち帰った。
そうして翌日、学校祭当日だ。
今日は朝の6時に登校し、食材などの搬入をした。近くに配送センターが有り、みんなでそこまで急いで取りに行く。特にポーションアイスは溶ける心配があるので担任の先生にも手伝ってもらい、車で運んだ。
天気は快晴、気温は28度。とても暑いのでよくアイスが売れそうだ。
そして7時には搬入が終わり、最後に確認となった。
僕と愛菜のシフトは8時から12時までの午前のみ、明日と今日の午後は当番はない。
僕とあと2人が調理担当で、愛菜と女子3人、男子4人が接客、もう一人、会計担当の合計14人で午前中の担当となった。
接客をする男子四人組はいわゆる陽キャ系のグループで、意気揚々とメイド服に着替えていた。
「どう? これでいいかな?」
「いいんじゃない?」
愛菜たちがメイド服を着て来た。
なにか気の利いた返事でもできれば良いのだが大したことは言えなかった。
「おお、山内似合ってるじゃん。」
「そう?ありがとう〜」
「俺達もなかなかいい感じじゃない?」
男子四人組は本当にコミュニケーションと言うか会話がうまい。
そこは尊敬している。
そしてついに学校祭の開会式が始まった。
…と言っても大したことはなく生徒会長が要するに今日は頑張って楽しみましょうということを話して終わった。
そして8時、僕らの学校祭が始まった。
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