毒殺
1ヶ月後、屋敷のテラスから緑に囲まれたこのスカイラッシュ国を
観るミナミナ・スカイダイブの姿があった。
王家の者が住んでいるのだから王宮と言っても差し支えなかったが
やはり屋敷だ。こじんまりとした。
ミナミナは思い、考える。
どうやら私は異世界に転生したあげく、しょっぱなから毒殺されかけた
らしい。
「魔人」でつくられた毒らしく
この一か月苦しみ続ける私にガッチさんやハゴロモさんは
解毒や回復の魔人能力者をつれて来て治療にあたらせたらしいけど
結局どうにもならず私…、ミナミナの精神力と体力が生死を分けたらしい。
結果私は勝った。毒の「魔人」に。
「はあー…」
ミナミナはため息をついた。
【魔人…魔人というのは別の異世界で言うところの魔法と同義である。
個の魔人は開花する者が限られている。生まれてすぐ使える者もいれば、
一生開花しない者もいる】
【それとは別に魔人力と言うものもある。これも魔法力と言ってかまわない。
無から有を生み出すようなことはできないが、魔人力を注ぎこむことで
植物の成長を早めたり刃物の切れをよくしたりできる。
こちらは修行、鍛錬、訓練で身につけていける】
ミナミナは自分の手を見つめてみた。
「小さいし白いな…」
元の世界の自分の手とは比べるべくもない。
どうしてこうなったかは分からないけど…どうやら私はこの異世界で毒殺され
亡き者にされる予定だった王女様の代わりにここへきた。
このひと月苦しみに苦しみ抜いたが決して心は折れなかった。
本当のはは様ちち様に会いたい思い…そして何よりわけがわからないまま
死ぬのが嫌だった。その決意が毒を退けた。
どうやら元の王女様は病弱だったらしい。
ミナミナは部屋の中へ戻る。
こちらの両親とミナミナと弟…アムムというらしい。の肖像画を
元王女の眼から目をそらして見つめた。
この世界では男女に力や体力の優劣はなく、ゆえにつける職業や権力の差も
ない。
アムム…弟は今アンデザーテという国に人質にとられている。
私ではなく弟が人質にとられているのはそういったことの一環だろう。
毒から回復した後の私の性格の変化や記憶の欠如は毒の後遺症だと
両親他に思われたらしくいろいろこの世界の理についてゆっくりじっくり
聞かされた。
「はあーーー……」
ミナミナのため息の勢いがます。
「もっともっと嫌がられるくらいはは様ちち様と話とくんだった」
沈んだ顔のミナミナ…捨てられた猫のような呆然と自分の身にふりかかった
理不尽を見つめる…そんな顔をしたミナミナだった
がっ
突然ミナミナはこの世の幸福をすべて包み込んだような笑顔を見せた。
「やっっったあーーー!!!」
お嬢さま大戦!私に気品はいりません!「強さ」で一等賞を目指します! @shakenohatsukoi
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