現実だ…これ

【ハゴロモ・スカイダイヴ】

「でもミナちゃん…あなたがそんなことを言うなんて

信じられないわ。熱…があるのかしら?あなた病弱だし…ほら

お母さんに見せてみなさい。」

と日本風の着物を着たいい匂いがする、このまま両腕に抱かれて

眠ってしまいたいような女の人が手をおでこに差し出した。


「…だっ大丈夫です。はは様…」


ガッチ・ハゴロモ「はは様!?」


「い 、いえ違うんです!おとう…お母様です!はは様!」

これは大変なことになった。美苗自身がいまの状況をつかめないのに

さらに二人を動揺させてしまった。

なんとか取り付くろはねば!


「あはは!このスープおいしい!魚介のスープでしょうか!?

スーッて透きとおっていて…」

それを見た瞬間、美苗の全身は固まった。

金髪、ツインテール、青くくりっとした目、歳も美苗より少し若そうだ。

そしてドレス。ドレスを着ている。


「あ…これ…スープの中に知らない女の子の写真が…入ってて」


「ミナミナ!」「ミナちゃん!?」


二人の両親と思われる人の顔がどちらもこわばる。

メイドさんはどこかに駆け出そうとしている。


美苗の頭の中もパニックを通りこしたバニックだ。


どうしよう‥どうなって…何がもう 美苗の頭が理解力が崩壊を起こそうとしたとき

それは突然はじまった。


「!!!?」


激痛である。頭に。次にまた突然はじまる。体が全身折り曲がるような苦しみ。


「痛い痛い痛い!!!」


「ミナミナ!!」「ミナちゃん!!」「お嬢さま!」


この世界の両親と思われる二人とメイドさんが

イスごと仰向けに倒れた美苗に駆け寄ってくる。

筆舌に尽くしがたい痛みの中、美苗はおもった。


⦅この痛みは本物だ。嘘じゃない。私死んだんだ。あのトラックで⦆


「うう‥」


痛みとは違う悲しみの涙を眼に宿した後、美苗は意識を失った。

この日からミナミナの一か月にわたる闘病生活がはじまった‥‥。






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