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あぁ、今日も疲れた。
以前は帰宅したら同棲していた彼女が出迎えてくれていたのに、今は誰もいない。
会社をクビになってから次第に彼女との喧嘩が増えていき、最後には俺が一方的にフラれる形で別れて彼女は出て行った。
付き合い始めた頃はお互いに惚気合って、今思い返せば恥ずかしくなる様な事も平気でしていた。
風の噂では俺と別れた後にすぐに金持ちの男と付き合い始めたらしい、一方俺は毎日必死にバイトして生活するのがやっとの惨めな毎日。
今更アイツの事を考えたって仕方がない、明日もバイトだ早く寝よう。
疲れた体は直ぐに意識を手放し眠りにつく。
トントントン
またノックだ、せっかく寝ていたのに起こされて少し苛立ちながらドアの覗き穴を見る。
外に立って居たのは別れた彼女だった。
美人とまでは言い難いが愛嬌のある可愛らしい顔は昔と変わらず、その顔を見ると付き合って居た頃を思い出す。
しかし何故彼女は今更になって俺の元へ訪ねてきたのだろうか?
「ごめんなさい、あなたに謝りたくてドアを開けてくれないかしら」
懐かしさの余りドアを開けてしまいそうになったが、やはり何かが変だ。
まさか噂の男別れたから俺とのよりを戻そうとしているのだろうか?
別れ際には罵詈雑言を浴びせて二度と顔も見たく無いと出て行ったクセに何を今更。
「悪いがお前との関係は終わったんだ、話す事なんて何も無い、帰ってくれ!」
そう言い放つとしばらく沈黙が続き、ドアの外から遠ざかって行く足音が聞こえた。
昨日に続いて何なんだ?とにかく疲れた、もう寝よう。
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