第6話タロとジロ

 高校を卒業してからの私は進学のため上京しましたので、その後また戻るまで八年ほど家から離れていました。


 たまに実家に帰るといたのが、妹の猫、タロとジロの兄弟でした。


 タロは白い体で、頭と尻尾に申しわけ程度に黒と茶色の毛があって、一応三毛猫ではないかと言っていました。


 オスの三毛猫が生まれる確率はとても低く、繁殖力もないため、珍しいと言われています。


 見た目には白猫なのですが、家族はみんな三毛猫だと信じていました。

 実際はどうなのか、今でもわかりません。


 ジロは黒い縞模様のキジ猫でした。彼はある日突然行方不明になってしまいました。


 しばらくして父がお隣の町を車で走っている時に、道端に似た猫を見かけたと話していました。


「ジロ」と声をかけたら振り向いたとのことですが、キジ猫はどこにでも居そうですから、実際は彼だった可能性は低いとは思います。


 でも、家族はみんな、ジロがどこかで暮らしていると思いたかったのだと思います。


 妹の話では、彼は車に乗るのが好きで、ドアが開いていると助手席や荷台に乗ってしまう癖があったようです。


 当時、母は小さな雑貨屋をしていたので、店の前によくお客さんが車を止めていましたから、もしかして、乗り込んだまま隣町まで行ってしまった可能性はゼロではいかもしれません。


 こうして、歴代の猫を考えていると、お別れの時のエピソードばかり思い出してしまいます。


 家族として、毎日一緒に過ごしていたはずなのに、その中でも別れが特に強く心に刻まれているのかもしれませんね。


【追記】

この文章を書いた後、改めて妹に当時のことを聞いたら、私が色々と思い違いをしていたことが判明しました。


行方不明になった車の好きな子は、ジロじゃなくてその母親猫だった!

タロはわが家の猫じゃなくて、別の家へ行った兄弟猫の名前だった!!

三毛猫のオスらしい白い子は、タロとは別猫のミイだった!

ご近所トラブルを起こした気の強いシャム猫のハーフ猫ミーコもいた!!!


事前に確認しなかったのが失敗でした。以下の通りお詫びし訂正します。

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