第3話ミーヤ

 ミーヤは私が中学生になったばかりの頃、わが家にいた三毛猫です。

 彼女との暮らしはあまり記憶が残っていないのですが、仲良しのパートナーだったことは間違いありません。


 彼女との別れの時の苦い記憶が残っています。


 ある日の朝、私が自室で寝ていると、ミーヤが布団に潜り込んで来ようとしました。いつもなら一緒に寝るところなのですが、もうすぐ起きる時間だったし、私が少し寝ぼけていたのもあって、うっとうしいなと思ってしまったのです。


 ダメと言って布団に入れてやらなかったのです。


 ミーヤはしかたなく部屋を出て行ったのですが、なぜか一度後を振り返って私を見たような気がしました。


 その時、私はふと、ミーヤもいつか死ぬ時がくるんだなあと、なんとなく思って、追い出したことを悪かったなと感じました。


 その時を最後に、ミーヤはいなくなりました。

 どうなったのかわかりません。


 当時は猫は自由に外を歩きまわっていましたから、交通事故の可能性もありますし、それとも寿命だったのかもしれません。猫は死ぬ時姿を隠すとも言われますから。


 もしかすると、母たちは事情を知っていて、私に教えなかった可能性もあります。


 あの時、布団に入れてやればよかったなと後悔しました。


 でもその後、彼女が近くの河原で楽しそうに走り回っている夢を見ました。

 それで、彼女はきっとどこかで楽しく過ごしているだろうと気持ちに区切りをつけました。

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