第5話 最初の約束
最初のイベントから数年が経ち俺は小学校4年生になった。
そして俺は夏休みの前に実夢に呼ばれて放課後の図書室に来ていた。
図書室には殆ど人はいなかった。
まぁ、今時の小学生は図書室なんて来ずゲームや外で遊んでるよな。
俺は司書の先生に挨拶して図書室の奥を見るとまるでお姫様みたいな美しい髪と顔立ちを持つ美少女がいた。
俺はその美少女の近くに行き声をかける。
「で、俺だけを呼び出すって何のようだ?」
「突然の呼び出してごめんね。でもシュウ君にしか相談出来なくて」
実夢は真剣な表情でそう言ってきた。
それとここ数年で実夢は仲の良い友達には敬語が抜けるようになった。
「おっと、実家のことだったらやめてくれよ。面倒なことになりかねない」
「言わないわよ。そもそも学校でする話でもないし」
「それもそうか」
俺はここ数年、転生したアドバンテージを使って色んなことを学んだ。
この歳で色んな資格も持っている。
そのせいか親父や母さんは俺に会社の仕事を一部を分けてくるようになった。
最初は俺も嫌々やってたが慣れてしまえばなんてことなくなった。
それと会社の人たちは何故かこの事に反対されなかった。
なんなら会社の部長やら偉い人たちの書類の確認とかしてるまである。
「立ってないで座ったら?」
俺は実夢の隣の席に座る。
「それで話って?」
「うん。実は」
実夢はそう言って一度口を閉じるがすぐにまた口を開き言った。
「わたしと拓海君が恋人になるのを手伝って欲しいの!」
実夢は頭を下げてそう俺に頼んできた。
「いいぜ」
「え?」
俺が軽く引き受けると実夢は素っ頓狂な顔で俺を見る。
「え、ちょっと軽くない?」
「いや、そう言ってもお前があいつを好きなことは知ってたし。いつかな〜って思ってた」
「え、わたしそんな分かりやすかった?」
「まぁ、そこそこな」
ほんとは前世の知識で知ってるんだけどそれでも明らかに他の人と接せる態度が違うしペアを作る時とか必ず慎とだし。
「それでーー、どうするつもりなんだよ」
「どうするつもりって?」
「決まってんだろ。お前が考えてる計画を教えろよ」
「け、計画って?」
「おいおい、まさかそんなことも考えてなかったのか?」
「考えてなかった・・・・・・」
実夢は気まずそうに小さな声でそう言った。
こいつこれでも世界でも名高い財閥の令嬢なんだよな?
「ごめんなさい」
「いいから。なら今決めちまおう。丁度拓海のヤツもいねぇし」
拓海には放課後のクラス鬼ごっこに参加してもらってる。
これも俺が裏から手回ししたことなんだけどな。
「じゃあまず現状の確認からだ」
「うん」
「まず実夢は拓海のことが異性として好き。そうだな?」
「う、うん」
実夢は少し頬を赤ながら答える。
推しが頬を赤らめて好きな人を思う。
それを現実で味わうと心が苦しいな。
「りょ、了解。で、逆に拓海は実夢のことをどう思ってるんだ?」
「た、多分。シュウ君と同じ幼馴染とか親友みたいな?」
「まぁ、そうだろうな」
拓海って誰にでも親切だし謎の正義感みたいなのがあるから慕われやすい性質を持っている。
それにアイツ自身恋愛とかに興味があるタイプじゃない。・・・・・・今のところは。
「ならまずはその意識を変えることだな」
「うん。でもどうやって?」
「ふーーーん・・・・・・」
そうなんだよな。いずれ実夢が拓海のことを好きになるのはわかっていた。
けどそれがいつかは分からないし下手に俺がちゃちゃを入れるとシナリオ自体が変わってしまう可能性があったから何にも準備してないんだよな。
まぁてか既にシナリオを少し変わっているんだがな。
「まずはアイツにお前を女として意識させることだ」
「女として?」
「そう、例えばプールとか海で水着を見せたら二人で映画を観に行ったりとか」
「デートっこと」
「そう言うことだな。となると夏休みになることだしここは海で綺麗な水着姿のお披露目といこうぜ!」
「で、でも恥ずかしいし」
「おいおい。そんなことで恥ずかしがってたら拓海の奴を他の誰かに取られちまうぞ?」
「そ、それは嫌だけど」
「なら恥捨てていくしかない!」
「う〜〜、わ、分かったよ」
「決まりだな!それじゃあ早速作戦会議といきたいがもう学校が閉まる時間だ。続きは今度な」
俺は席を立ち図書室から出ようする。
「うん。シュウ君、お手伝い引き受けてありがとう」
その後ろでは実夢が席を立ち頭を下げてお礼を言った。
「気にすんな。俺たちの仲だろ」
俺はそう言って図書室を出た。
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